2
「そんな難しい質問の答えなんて私には全然わからないよ。私の学校の成績よく知っているでしょ?」
笑いながら私は言う。
「茶化さないできちんと質問に答えて。僕は真剣そのものなんだよ」
王子様は言う。
開けっぱなしの窓から夏の終わりの風が私たち以外誰もいないからっぽの教室の中に吹き込んでくる。
その髪が綺麗な王子様の髪を優しく揺らしている。
「ごめん。真剣になって考えてみたけどやっぱり全然わかんないや」
冗談ぽい口調で(赤い舌を出して)私は言う。
「そっか。残念だな」
少しだけ身にまとっていた緊張を振り解いて王子様は言う。
それから王子様は一度だけ茜色に染まり始めている窓の向こう側にある夕焼け空に目を向けてから、私に視線を戻して、しっかりと私の目を見つめながら「じゃあ正解を言います。それは自分の『愛する人』を見つけることです」と本当に優しい顔をして笑いながらそう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます