「そんな難しい質問の答えなんて私には全然わからないよ。私の学校の成績よく知っているでしょ?」

 笑いながら私は言う。

「茶化さないできちんと質問に答えて。僕は真剣そのものなんだよ」

 王子様は言う。

 開けっぱなしの窓から夏の終わりの風が私たち以外誰もいないからっぽの教室の中に吹き込んでくる。

 その髪が綺麗な王子様の髪を優しく揺らしている。

「ごめん。真剣になって考えてみたけどやっぱり全然わかんないや」

 冗談ぽい口調で(赤い舌を出して)私は言う。

「そっか。残念だな」

 少しだけ身にまとっていた緊張を振り解いて王子様は言う。

 それから王子様は一度だけ茜色に染まり始めている窓の向こう側にある夕焼け空に目を向けてから、私に視線を戻して、しっかりと私の目を見つめながら「じゃあ正解を言います。それは自分の『愛する人』を見つけることです」と本当に優しい顔をして笑いながらそう言った。

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