魔族が俺と一緒に魔王倒すこんな展開待ってない!?
みなと劉
第1話
松明に火をつけて明かりを灯す。
暗闇を照らす光。夜を醸し出す漆黒の暗さはある意味滑稽な程に麗しさを彷彿させる。
闇夜を照らす光の松明を手に持ち1人の若者が夜道を歩く。
俺の事だ。俺は今、ある人物に会いに行くために、山道を下っていた。
「はぁ……はぁ……」
息も切れてきた頃だった。
ふと、視線の先に光が見えた。
それは、小さな祠の様な場所から漏れる光だった。
俺はその光に引き寄せられるように足を進めた。
そして、祠の前にたどり着いた時だった。
『カチッ』という音が聞こえたと思った瞬間、岩が音を立て移動する。
「ここは入ると作動するのかそれとも地面に予め作動用の小石などがあるのか?」
疑問が浮かび上がる中、俺はその祠の中に入っていった。
そこは不思議な空間だった。
洞窟の様になっており、奥には大きな祭壇がある。
そして、そこにいる人影を見て、思わず声を上げた。
「……」
そこには、白髪で長髪の男が立っていたのだ。
しかし、男はこちらを見向きもせずただ、じっとしていた。
「あのー」
俺の声に反応するように、呼応するように話始める。
「待っておりました。例の物はこの奥です」
例の物?なんの話しだろう。
だが、俺は
「そうか」
とだけ言って奥へと向かう。きっと何かあるのだろうと直感的に思ったからだ。奥へと進むとそこには、剣があった。いや、正確には剣の形をした水晶のようなものだった。
「これが伝説の聖剣ですか」
俺は少し興奮気味になりながら言った。
すると、目の前にいる老人は静かに答えた。
「はい、この世界を救う事が出来る唯一の手段であります」
俺は言葉を失った。こんなにも簡単に見つかるとは思わなかったからだ。
そして、俺は決意した。世界を救おうと。
祠から出ると待ち構えていたかのように先程は居なかった魔族の姿があった。
「出てくるのを待っていた」
あー、こういうイベントな。俺結構すきよそういうテンプレ的ロープレな展開。
魔族はきっと
我が名はなになにとか言って戦いが始まる感じだろうな。
「我の名はガレン・ガルル」
は?え?普通名前言うんだっけ?なんか違う気がするがまあいいか。
「私はアユムと言います」
とりあえず挨拶してみた。
すると、案の定魔族の方は俺の名前を聞いた途端驚いたような顔をしていた。
「お主がアユム殿か!ならば話は早い!我と共に魔王を倒してくだされ!」
……ん?なんだこれ。
なんで魔族が勇者と一緒に魔王倒す展開になってんの!?
ガレン・ガルルが仲間になりました。
魔族仲間にしちゃったじゃん!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます