第2話 セシルとサラとの年越し
一章 宴から始まる異世界生活
「ピーンポーン」
19時55分。5分前行動とは関心関心
「はいはーい」
相手には聞こえてないのに返事してしまうのはなぜだろう
「いっらしゃい」
「お邪魔しマース」
「ただいま」
サラは確かに毎日のように出入りしているからただいまでも違和感がないな
セシルがお鍋を持っている為、サラが2人分の上着を持っている。お参りに行く気満々のようだ
「ゼンイチさん。お鍋にしまシタ!」
勝手を知っている2人は自分の家の用に入って来ては用意を始めた
セシルは台所に置いてあるキャンプ用のコンロを持ってきてお鍋をセットしお皿やお箸など準備を始めた。自分の台所だがセシルの方が間違いなく詳しい。もちろんセシルとサラ専用の食器もある
サラはコタツの一角。テレビからみて右側を占拠しクッションなどで周りを固めて自分の部屋から持って来たであろうタブレットやライトノベルなどを配置している。もうそこから動かないと強い意思がうかがえる。少し空いてるスペースがあるがあれは間違いなくお鍋を食べた後のお菓子やジュースを置くための場所だ
「サラは相変わらずだな」
「善一が教えてくれた」
確かに自分が教えた。だから休みの日などはサラの様に自分もサラみたいなことをしていたりする
「周りがチラからないのでお掃除の時も便利デス!」
セシル的にはありのようだ。確かに色々散らかるよりは1箇所で済むしな
セシルは準備が終わったのでテレビからみて左の座椅子がある席に座る
自分はテレビの正面で後ろのソファーを背もたれにする
テレビからみて右側はサラ、正面が自分、左側がセシル。これが定位置になっている
「「いただきます」」
「いただきマース!」
ん?お鍋と言ってたから何鍋かと思ったがアヒージョか
「アヒージョにしたんだな」
「ハイ!しばらくキャンプしてなかったので食べたくなりまシタ」
「グッジョブ。セシルのアヒージョ美味しい」
キャンプの時にセシルに教えたことのある料理の1つだ
粒ニンニクにブロッコリーにヤングコーンにトマトにマッシュルームにエリンギ。しっかりとニンニクの味もしているし鷹の爪でピリ辛に仕上がっている
「おっ。美味いな!」
「本当デスカ!?」
「もう、料理じゃセシルに勝てないな」
「これからもずっとわたしが作るので大丈夫デス!」
「むむむ、、、セシル恐るべし」
「後半はキノコから海鮮に変えるので2度楽しめマス!」
「確かにセシル恐るべしだな」
サラと意見が一致したが何かちょっと違う気もするのは気のせいか、、、
「ゼンイチさん!せっかくですから飲みまショウ!!」
「ん?ワインか」
「はい!アヒージョにはワインデス!」
「私はコーラ一択」
自分的にはサラ同様にコーラがいいんだがたまにはセシルに付き合ってワインもありか
「ならワインを頂こうかな」
「わぁおー、珍しいデスネ!」
「善一、お酒強くないからダメ」
確かにお酒はあまり飲まないが嫌いと言う訳でもない。セシルほど飲むわけでもないが嗜む程度には飲む。それに年越しぐらいは多少酔ってもいいだろう
「そんなに飲まないから大丈夫」
「ぐぅー、、、」
「だからダメって言ったのに」
「あらら、寝ちゃいマシタネ」
「セシルは相変わらずの酒豪」
「この『世界』のお酒はとても美味しいデス!」
「同意。お酒はわからないけどコーラは至高」
セシルと善一を見ながら懐かしそうに話している
「寝顔可愛いデスネ」
「同意」
なるほど。これが年越しのお決まり、、、色々と思い出いだすってやつ
「善一がいなければ私達はどうなってたか」
「確かにそうデスネ。生きていけたとは思いますが今の様に幸せではなかったデショウネ」
「セシルはまだ日本語に違和感あるけど『言語スキル』があって助かった」
「わたしは『姫様』ほど『言語スキル』に適性がありませんので仕方ナイデス」
「呼び方が戻ってる」
「あっ!ごめなサイ、、、でもサラちゃんだって『言語スキル』って言ってマス!』
「ぐ、、、確かに。お互い気をつけないと」
善一の前では割と色々ボロを出しているが何も聞いてこない。多分気を使ってくれてる。でもいつかはちゃんと話すから、、、だからそれまで約束の証に私の一番大切な物を渡す
私は鞄に大事にしまってある物を取り出す
「いつも持ち歩いてマスネ」
「私の宝物だから」
「でも日本じゃ銃刀法にひっかかりマスヨ」
「でも善一もキャンプの時に同じ様なサイズの物持ってた」
「キャンプの時にあっても不思議ではないデスが女子高生のカバンにあったらおかしな物デス!」
確かにそう。私の宝物は見た目は立派に装飾されている鞘に収まっている短剣
「守護の宝剣」
『あっち』では数字で希少値を表すけどこっちなら分かりやすいく言えば最上位クラスの星5つ、激レアって感じ
「いつ見ても素晴らしい宝剣デス!」
「うん。でも善一に渡す」
「!?」
セシルがとても驚いた顔をしてる
「2年前、、、」
「あっ、、、」
善一が入院するほどの怪我をした。かなりの大怪我だったけど2週間で退院した。私とセシルが毎日病院に行き善一や他の人にバレないように『少し力』を使ったから。無闇に使ってはいけないとは思った、、、この世界ではありえない力。でも善一がいなくなるのは耐えられなかった。何も分からない私達を助けてくれて色々教えてくれた恩人でもあり、、、私の異性で一番好きな人。おそらくセシルにとってもそうなんだと思う
「私達は守るすべがある」
いざとなれば力を使う。私もセシルもそれが出来る
「はい、、、姫様の思うがママに」
もっと反対されると思った。守護の宝剣はただの激レアってわけではない。私にとっては唯一の形見でもある。セシルもそれを知っているのに、、、やっぱり善一の安全が1番?
「、、、セシルも善一が好き?」
セシルは驚いた表情からすぐ満面の笑みになり答えた
「大好きデス!!」
「私も大好き」
善一を起こさないように2人でコタツから出ていつも善一が着ている上着の前にいる
「サラ リンスレット ランフォードの乙女の祝福を」
「セシル スカーレットの乙女の祝福を」
魔力を込めて守護の宝剣にキスをする。極稀に奇跡が起きるとの話、特別な異性に贈る女性としての祈り。祈りをかけた宝剣を上着の内ポケットに入れる
「もう23時ですネ」
「善一、起きない」
「では私達の新しい門出を祝って2人で初詣で行きマショウ!」
「悪くない。セシルは家族で友達でライバル」
「サラちゃんに吉報デス!一夫多妻はこちらの世界にもありマスヨ」
「!?」
「協力シマショ!わたしはサラちゃんも大好きデス!!」
「私もセシル好き。協力はあり」
「ならまずは神頼みといきマショウ!」
「その前に屋台。神様は逃げない」
善一を起こさないように毛布を掛ける。そして自分の指にキスをしてその指を善一のおでこにあてる。今はこれが精一杯
「おやすみ、善一」
部屋の電気を消し善一から預かってる合鍵で鍵を閉める。待ってくれてたセシルと手を繋いで歩く
「サラちゃんは何食べるデスカ?」
「りんごあめ!」
今は甘くそして少し酸っぱい気分
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