その2 世界観・設定 作り

・前書き

※ このコーナーはそれなりにネタバレを含みます。最低でも本編を4話の前後まで読み進めてから楽しむ事を推奨します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




 電話会議の初回。まずは世界観・設定の見直しから始まりました。


「先輩、今はどんな感じなんですか?」

「先に言っておく! か~な~り、雑い!」


私はそう言って共有フォルダに『世界観・設定(ボツ)』というファイルを添付しました。カステラ君がそれを開き、私も同じように改めて内容を確認します。


・実際の内要――――――――――――――――――――――――――――――――


太陽系とは明言しないが、それに近しい世界。舞台も火星に近い環境。

惑星間の移住が行われつつある未来。



母星における先進国の連合が主体となってテラフォーミングが進んでいた

・ソーラーヒーターによって地表面を熱する。

鉱物中に結合していた酸素や二酸化炭素が出て来る。

地下に凍っていた水分が蒸発し、雨が降る

雨は空気中の金属を吸収しながら、原始海を生成する。(原始海は強酸性)

無害な大気が生成されるものの、酸素濃度がほぼ100%であり、温室効果も期待できない。

・窒素を生成、もしくは輸入して酸素濃度を下げる。

・太陽風から大気を保護するために磁気が必要。人工衛星に磁気シールドを展開させる

・生態圏の形成に着手。大地に菌を増殖させ、養分を定着させる。

・ここから植物を植えるのだが、植物を輸入する際、意図しない昆虫や動物が大量に混入してしまう。

酸素濃度がまだ下がり切っていないため、石炭紀の昆虫以上の大きさに突然変異が起き、想定を上回る脅威となった。


計画は大きな失敗を含んだ結果となってしまい、連合は莫大な損失を被ってしまった。

管理体制も半ば崩壊したその地ではパワーバランスに変化が生じ、各国の軍隊や民間企業勢力が介入し、利権を求めて争うようになっていた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「これが雑ですか?」

「うん。我ながら酷い。まず、テラフォーミングが実施された理由が曖昧……これに関しては幾らでも付け足せるからまだ許せる」

「人口が増え過ぎたとか、母星の資源が尽き始めたとか」

「そうそう。ただ、一番の問題は争う理由」

「確かに。私もそこはちょっと引っ掛かりました」

「利権と言っても色々あるし、収拾付かないレベルまで荒れた放棄惑星とか大して誰も欲しがらないだろうな……それに、突然変異生物という邪魔者の存在が大き過ぎる」

「あ~」

「この設定は消した方が良さそうだ。思い付きで『パシフィック・リム』みたいな香りを入れたくなっただけだから」


私とカステラ君は、同時に溜め息を吐いて、お互い少し考えました。


「先輩、舞台となる惑星は一つに絞りません?」

「それは思った。あと、もっと政治的な戦争の方が面白くなる」

「なるほど」



 少し経って、私は暫定だった1話を書き直し、共有フォルダにアップロードしました。


「ちょっとこれを確認して欲しい」

「設定が追加されて、内容も結構変わっていらっしゃる……私の方でも色々手を加えてみます」



 また少し経って。


「どう?」

「おお、ちょうど前置きの話を編集してみたんですよ。私の主観がかなり入っちゃいましたが、まぁ見てみてください」


現在公開している0話はこの時点でもう原型が出来ていました。


「ハハッ! 素晴らしいな。私より語彙力あるんじゃない?」

「まぁ、そういう本ばっかり読んで来ましたから(笑)」

「特に『社会性を持てなかった者は進化の過程で淘汰されたのだろう』が良いね!」

「褒められた、やったぜ! ダーウィンの進化論を意識しました」

「👍」

「それから、ここでの語り手は色々知っている側だと思ったので、不自然にならない程度に情報を追加したり、私独自の戦争理論を入れたりしてみました」

「いやぁ~、カステラ君のその『独自の戦争理論』がかなり良い味出してる……ちなみに、これはボロフスキー目線」

「あ、暫定2話に登場した科学者ですね。ロシア系の名前か」

「気付いてもらえて良かった」

「あそこら辺は色々と怪しいですから、納得かも」

「【機動戦士ガンダム】に『ドクター・ミノフスキー』っていう博士が居て、そのイメージがあっただけかな。決してロシア人を悪者にしたいわけじゃないです、ハイ。そもそも惑星変わっちゃってるし、もうロシアとか無いね」


 という感じで私たちは調子に乗り、「統一連合」と「テレストリス」の二大勢力とその対立経緯についてとにかく設定を盛りまくりました。


「あと、一個何か世界観の決め手となるアイテムがあるべき」

「そうですね。この世界では核を廃しているので、その辺で何か……恒星間航行できる宇宙船があるっていう設定ですから、その動力源も考えないと」

「核を越えるエネルギーを持った物質ってコト?」

「そうなります。私としては【スター・ウォーズ】の『スターデストロイヤー』みたいなのイメージしてて」

「あぁ、あのクソデカ戦艦か。【AC6】で言う『コーラル』的な物質が欲しくなる」

「私ACやってないから分からない(ぴえん)」

「まぁいいや。『エンシス』とかって名前はどう?」

「おぉ! なんかそれっぽい。ネーミングセンスが光りますねぇ」

「最古の人間ホモ・ルドルフエンシス・・・・から名前を頂戴。人類の起源の名を冠する争いの種……良くない?」

「おぉぉぉぉ......いい。すごくいい」



 と言うのが、世界観・設定を作ったときの様子でした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る