皇国の正体を隠す序列一位騎士、その正体は皇国で怠惰を貪り蔑まれる無能公子です〜

第1話

「はぁ、眠みぃ〜い゙」

「兄様朝です〜てかもう昼ですよ!!」

 朝目覚めると、妹に俺の布団を剥ぎ取られた。

 てか、その俺の体に跨って上下に動くのは朝の俺に刺激が強すぎる。俺の息子は俺と違って早起き(意味深)なんだから。

「ベリル様……お嬢様を見習って―――「良いよ、そんなこと言わなくても」」

「ねーむーいー」

 俺は寝たいんだ!

「兄様起こして、ごめんね」

 ルキナがすこし悲しそうな顔をする。

「あー、そのなんだ?ルキナごめんな今起きるわ」

 妹が悲しんでいるのに黙ってみていられる兄がいるだろうか?答えはNOだ。

「やった!今日はさ久しぶりに外、街の外に行こ?」

「母上にちゃんと聞いたか?」

「うん!」

 なら、良いけど〜、外は危険なんだよな……。ま、この話は後で後で〜。

「じゃ、朝ご飯食べ終わるまで待ってくれ」

「は〜い、準備して待ってるよ!あっ、そういえば今日はルナも呼ぶから」

「え、皇女様も来るの?」

 皇族が来るのは聞いてない。

「うん、あとフィアも呼んだよ?」

 え、公女様?俺も公爵家だから身分は一緒とはいえメンバー豪華すぎない?

「あ、あ、うん分かった」

「お茶会だからね〜女の子は多いほど良いっしょ眼福眼福!」

 ソウナンダー。俺を呼んだ意味とは?会話に入れず孤立する未来が見える……。

「したら準備してくるから〜またね!」

「おう」




―――モグモグタイム―――




 えぇ〜、本日の朝食 兼 昼食も非常に美味でした。

 特にステーキから溢れ出る肉汁が―――

「けど、昼からお肉は重い……」

「何、年寄みたいなセリフ言ってんの?」

 ルキナからジト目が送られてくる。

「うん、今日も俺の妹はかわいいな✧」

「はぁ、しょうもないこと言ってないで行くよ?」

「あ〜い」

『ベリル、今時間は?』

 脳内に聞き覚えのある初老の声が響く。

「あ、ルキナ先行ってて」

「ん?おけ」

『いかがなさいましたか皇帝陛下』

『お主にそんなことを言われると鳥肌が立つわい、普通にしてくれ』

『ひどいなぁ、それで何か問題?』

『そうなんじゃ……皇族に仕える一部暗部から連絡が絶たれた、騎士団と魔法師団に探させたが発見は困難恐らく死亡だ』

『暗部が……?そうとうやり手ですね』

『あぁ、皇都の近くで危険が及ぶかもしれんから重鎮の非常招集をしようと思う良いか?』

『そうですね、すこし心残りだな、鐘を鳴らそう』

『じゃ、切るぞい』

 ブツッ―――

 あぁ、ルキナには申し訳ないけど……。やむ無し。ごめんな。

『ゴーン・ゴーン・ゴーン』

 皇都の中心、皇宮から鐘の音が響く。

「ルキナ〜!すまん!非常召集がかかった」

「聞けばわかります、それにしても―――タイミングが悪すぎます!!兄様と行きたかった〜!」

「また今度行こうな?間に合ったら俺も遅れて向かうから」

「うん」

「じゃ、行ってくる」

「ん、頑張ってね!」

 俺はルキナが乗った馬車を見送った。

 

 この非常召集が、既に遅すぎたことも知らずに―――。




―――――――――

なんやかんやで作品を書いては消して、書いては消してを繰り返してやっぱり一人称が書きやすいことを知りました〜。

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