第2話 はじまり
今、少し前方に溌剌とした姿で湿地帯を歩く、小学生くらいの男の子が見える。
何かを凝視しているようだ。
凝視の対象は動いている。目線が時々、揺らめく。
彼は、対象を捕まえようとした。
だが、逃げられてしまった。飛んでいってしまった。
対象はトンボだった。
パンを焼くにおいがする。もうお昼時だ。
湿地にある小さな家から、温かい声が聞こえた。
「もうご飯ですよ。」と。
ー昼食を終えてー
昼食を終えて外に出ると、離れの小屋から、黒い砂粒のようなものが縦横無尽に動いているのが見えた。
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