第1話:ありきたりな始まり
教室の隅で実に平凡な人生を送ってきた僕にとって、その出来事は唐突で物語でよくある、『どこから語ったらよいだろうか』と言う語り文句を言わなくていいくらいあまりにもわかりやすい始まり方をした。
先に言った通り、学校で目立たない人生を送っていた僕はいつも通り高校の授業を問題なく済ませて、
「来年には受験が控えてるんだから、しっかり勉強するんだぞ。」
と言う、ありがたいお言葉を受け、まぁ来年の話だし変に焦ることもないだろうと楽観的な考えを浮かべながら帰路に就いた。
何も変わりはなかった。そう、帰り道の路地裏がいつもと違っていやに光って見えたこと以外は。
「なんだ?」
やめておけばいいのに、僕はその路地裏に立ち入ってしまった。面倒なことにかかわりたくないから、自己主張することもなく変に目を付けられることもせず大人しくしていたというのに。
もしかしたら特別なものでも見れるかもしれない。そんなことを、この時の僕は考えていたのだろうか。もう覚えてなどいないが、深く考えもせず光の中へ足を踏み入れてしまったのだった。
好奇心は、猫をも殺す。よく言ったものだ。言葉通り、その結果なんて大抵ろくでもないものにしかならないというのに。
・・・・・
意識が飛んだといえばいいのか、体が世界から浮いた。とでもいえばいいのか。目を覚ました時僕は、見知らぬ玉座の前にいた。そしてそこに座する王にこう言われたのだった。
「よくぞ召喚に応じてくださった勇者様。どうぞこの世界を救ってくだされ。」
そんなRPGなんかでよく聞くセリフからこの物語は始まるのだった。
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