第19話 『まさかの襲撃』
是非売って欲しいと群がられでも、どのくらいの値段で売れば良いのかさっぱりわからない。
オフェーリアは、ラバナラに着いてから商業ギルドで査定してもらい、それから販売することを約束してその場を納めた。
結界石はそれなりの数在庫があるが、どこかで“家”を出して追加を作成した方がいいかもしれない。
オフェーリアは見張り番をしている2人の分も料理を追加して、そそくさとテントにもぐりこんだ。
その前に結界石の使用方法の実演をして見せたが、すぐにその事を後悔することになる。
なにしろ購入希望者たちは、最初は控えめにノックをする程度だったのだが、段々とエスカレートしてそれぞれの得物で攻撃し始めたのだ。
「もう、煩い!」
攻撃が途切れた合間に顔を出して怒鳴ってみたのだが、テンションが上がりに上がりまくった連中は、結局オフェーリアに安眠を与えてくれなかった。
夜が明けて初めての乗り合い馬車の旅、最終日。
夕方までにはラバナラの町に着くらしく、到着し次第商業ギルドを訪問することになってしまった。
「少しの間休ませてもらいます」
オフェーリアは窓にもたれてうたた寝を始めたのだが、ここで大変なことが起きたのだ。
それはこの旅が始まって何度かあった魔獣の襲撃があったとき、護衛の冒険者たちは皆、馬車の外に出払い乗客は待機となっていた。
図太いオフェーリアはその時まだうとうとしていたのだが、突然頭に感じた衝撃に目を覚ました。
「……何?」
「うわーっ、なんでこいつ平気なんだよ!?」
2泊3日の行程で、オフェーリアは結局乗客たちとは交流しなかった。
その乗客の1人が棍棒のようなもので殴りかかってきたのだ。
もちろんオフェーリアは防御の魔法をかけていて、ヒトに殴られる程度はなんともない。
「おい、何をしてるんだ!」
馬車内の隅で固まっていた他の乗客の1人が異常に気づき、こちらにやってきた。
もう1人が続いて、オフェーリアを襲った不届き者を取り押さえた。
棍棒は蹴り飛ばされ、乗り口のステップのところまで転がっていった。
「一体、どういうつもりかしら」
オフェーリアが取り押さえられた男の前に仁王立ちし頭を踏みつけた。
本来小柄なオフェーリアなので、さほど堪えないはずなのだが、骨が軋む音がする。
身体強化を付与されたオフェーリアの膂力は、筋骨隆々なアレックスなどと差はないだろう。
「おい!
だ……れか助けろ!
こいつがいなければ、荷物は俺らのものだぞ!」
味方を引き込もうとするが軽蔑しきった視線が返ってくるだけだ。
「ふうん、こそ泥だったんだ。
それも私を殴ったわね?」
あの棍棒で力任せに殴られたら、ただでは済まない。
「おい、何ごとだ?」
外で魔獣と対峙していたセダンとチコが乗り込んできて、目にした状況に大声をあげた。
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