第4話 『ようやく爆買い』
自分だけで生活環境を調えるのがこれほど大変だとは思わなかったオフェーリアは、まずは寝室と水回りをすぐに使えるようにした。
結果、ベッドに用意した真新しい枕や布団をセットすると、じっとりと汗をかいていた。
「……何か、もうバテちゃった。
【洗浄】」
オフェーリアはそのままパタンとベッドに倒れ込み寝入ってしまう。
そして気づいたら朝になっていたのだ。
「うっわ!拙い!!」
何の知らせもなくホテルに戻らなかったオフェーリアは、無断外泊の扱いとなっているだろう。
そんなことが教官たちに知れたら、どんなことになるか……想像するだけで恐ろしい。
取るものもとりあえずウッドハウスから飛び出し独自の異空間収納にしまい込んで、オフェーリアは一目散に駆け出した。
案の定ホテルでは心配されていたが、幸運にも外部には知られておらず、ホッと胸を撫で下ろしたオフェーリアだ。
その後、ギリギリで朝食を食べて、今度は市場にくり出すと、先ほどの異空間収納とストレージに爆買いした食料品を収めていく。
まずは穀物。
これは小麦粉から始まり、次は米。
とうもろこしやキヌア、数種類の雑穀も手に入れた。
オフェーリアのストレージは完全に時間停止しているので食品の劣化はない。
なので野菜は根菜ももちろんだが葉物野菜も存分に購入しておく。
次は調味料、乳製品や生でも食べられる卵など、そしてハムやベーコン、ソーセージ、いくらかの肉類を買って、隣のブロックにある雑貨を売っている市場に移動すると、ここでは食器や調理器具、鍋やフライパンを買いようやく市場を後にした。
もうホテルはチェックアウトしてきたので、今夜から正式に我が家で生活することになる。
久しぶりの一人暮らしにオフェーリアはひとり笑っていた。
オフェーリアの新たな旅立ちは一応門から出て行った。
そしてすぐに転移してある町に向かった。
「おっと、魔法族の都じゃないのだから、ちゃんと門から入らないと不法侵入になってしまうわね」
オフェーリアは、かろうじて門から見えない場所に姿を現し、そこから徒歩で向かうことにした。
だがそのこと自体も不審に思われることになってしまったようだ。
「おーい、そこの人!
あんた歩いて来たのか?!」
こちらに向かってフルプレートの金属鎧を身につけた兵士が槍を手に走ってくる。
オフェーリアはびっくりして再び転移しそうになったが、何とか思いとどまった。
「どこから来たんだ?
いや、怪我はないのか?」
何やら雲行きが怪しい。
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