あの月の夜、君に逢えたから。
夕白颯汰
プロローグ
ある日の、月が輝く夜。
星々の、ありふれた光に照らされた浜辺。
変わらぬ音とともに、砂を濡らす波。
そこで、僕は出会ってしまった。
――『月食病』の君に。
僕は、僕たちは、この運命に抗う。
誰からも否定されようとも、足掻いていく。
色を失った世界を、必死に生きていく。
そうして辿り着いた先で、君と月を見ていたい。
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