研修中というバッジをつけた占い師

お題：質問攻めの新人

私の目の前に座っている占い師の左胸には、若葉マークがあしらわれたバッジがついていた。マークの下には研修中の文字。その占い師の背後にはもう一人、奥二重の占い師がいた。若葉マークが私に尋ねる。

「今日のご相談の内容をお聞かせください」

「今付き合ってる人がいるんですけど、その人が結婚する相手なのかなと思って」

「分かりました。それではあなたの誕生日を教えて下さい」

「２月21日です」

若葉マークが後ろを振り向く。奥二重は耳打ちをする。若葉マークは正面を向く。

「焼き肉座のあなたは大胆に見えて実はデリケート。心の繊細さは現役大リーガー級」

「前半の意味は分かりましたけど後半の意味は分かりませんでした」

「それではお相手の誕生日を教えて下さい」

「8月3日です」

若葉マークが後ろを振り向く。奥二重は耳打ちをする。そして若葉マークは正面を向く。

「焼き肉座のお相手は夢見るロマンチスト。豊かな想像力は現役大リーガー級」

「後半はもういいとして、2月生まれも8月生まれも同じ焼き肉座なんですかね？」

若葉マークが後ろを振り向く。奥二重は耳打ちをする。そして若葉マークは正面を向く。

「お相手は焼き肉のたれ座です」

「なるほど。それで私たちは結婚できるでしょうか」

若葉マークが後ろを振り向く。奥二重は耳打ちをする。そして若葉マークは正面を向く。

「焼き肉座と焼き肉のたれ座だけあってフィーリングは抜群。相性の良さは現役大リーガー級」

「よく分からないけど分かりました。このまま付き合っても良さそうだし占ってもらって安心しました」

「どうかお幸せに」

「料金お支払いしますね」

若葉マークはこれまでと違って堂々と、

「100万ドル頂戴いたします」

私は思わず、

「さすが現役大リーガー級」

（monogatary.com様に投稿したものをカクヨム様にも投稿させて頂きました）