不妊に悩む友人S氏。検査をしてみたら精子の数が半端なかった話②
「
Sに相談を受けてから、約二週間後の昼休み。
「なんやねん、急に大きな声出して……」
「俺の精子の数がヤバかったてん!」
「あぁ……不妊治療がどうとかって言ってたやつ?」
ようやく相談の内容を思い出した
「そうや!! 俺の精子な……なんと、世田谷区民と同じ数の精子がおったんや!!」
それを聞いた瞬間、休憩室にいた社員全員が何かしらのアクションを起こした。一人は驚いて目を丸くさせている人、食べていた唐揚げを弁当に戻してゲホゲホと咽せている人が沢山いた。
勿論、
「ゲホゲホッ、おま……お前、休憩室で何言うてんねん!! 今すぐ世田谷区民の皆さんに謝れ!!」
「話の続きやねんけど、奥さんは何も異常が見られへんかったから、タイミングが合わんかっただけでしょうって言われたわ」
「あぁ……それは良かった(?)やん」
「おう! やから奥さんには気を張らずに、したい時にする事にしよ〜って言うたわ!」
シーンとした休憩室でスッキリした顔で笑うS。
周りからの冷ややかな目がチクチクと痛かったが、この三ヶ月後、無事に赤ちゃんができたという報告を貰い、約一年後には一児の父親になったとさ。
めでたし、めでたし。
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