どうして、春になったら変態が湧いて出てくるのか?〜最近の変態達が賢くなっていて驚いてしまった話〜④

 マルーン色の電車が到着した。私はそそくさと女性客の後ろをついていくように車内へ足を踏み入れる。私は次の駅で降りる為、扉の近くに立っていた。落ち着かない気分を変える為、次の曲はTMレボリューションの〝HOT LIMIT 〟にした。


 最終電車のアナウンス後、電車の扉が閉まった。

私は西川さんのパワフルな歌声を聞きながら、電車が動き出すのを待っていたが、真っ正面から奇妙な視線を感じた私は顔を上げてみると――。


 酔 っ 払 い の 紳 士 が 扉 の 向 こ う で 、 ニ ヤ ニ ヤ と 笑 い な が ら 立 っ て い た。


 何が起こったのか分からずに動揺していると、紳士は神技といえるスピードでベルトを外し始めた。パンツのチャックを下ろし、〝汚れたバベルの塔〟を白ブリーフの間からニョキッと生やした。


「ひぇ……」


 紳士はドヤ顔で「どうだ! 俺のチ●コはデカイだろう!?」と言わんばかりに嬉々とした表情で見せびらかしてくるが、私は目の前で何が起こったのか分からず、ドン引きしていた。


 ちなみに私は健全な女子大生の一人だ。男の〝神聖なバベル〟とやらを比べられるくらいの経験をした事がない。だが、そんな経験の少ない私でも〝汚れたバベルの塔〟が女性にとって優しいサイズではないと悟った瞬間でもあった。


 乗っていた電車は何事もなかったかのように動き始めた。紳士が〝汚れたバベル〟を上下に扱いている所までは確認できたが、トンネルに入って景色が変わり、私はようやくハッと我に返った。


(なんなんだ、あの男は!? ただの変態じゃないか!!)


 見たくもないモノを見せられた時は驚いて何も言えなかったが、冷静になってくると〝なんてモノを見せてくるんだ!〟という怒りの気持ちに変わっていったのだった。


◇◇◇


 後日、冷静になった私は昨日の事を振り返ってみた。この紳士――いや、この変態紳士は酔っ払っている状況でも頭を使っていた事に気が付いた。


 車掌はホームの安全確認を目視で行う為、変態紳士は〝汚れたバベル〟が見えないように、わざと背中を向けて露出させていたというわけだ。


 この事を大学の友人達に話してみると「汚いポークビッツを見せびらかしてくるな! って、言えば良かったのにwww」と机をバシバシと叩きながら、腹を抱えて笑っていた。


「いや、あのサイズはポークビッツじゃなかったで……」


 珍しく私が深刻そうな顔で言うと、「どれくらいの大きさやったん?」と別の友人が聞いてきたので、腕を折り曲げて拳を天井に突き上げる。


 すると、別の友人が「うっわ、でっか!」と口にした数秒後、皆が一斉に吹き出してしまった。

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