人船

ぬぅっこぅ

第1話 船井元也は

俺は船井元也、普通の中学一年生。勉強、運動、会話、友達。めんどくさいが今日も学校に通う。

「いってきまーす」

いつものように挨拶をし、ドアを開けた。「あ゛…か゛……」

突如、船井元也の体を激痛が襲う。痛い。もしかして、死ぬ?そんなことを考えているうちに、気を失った。気がつくと、そこは知らない部屋で、廊下を通りかかった医者?に声をかけた。医者は驚き、そしてすぐに誰かに連絡をしていた。数分後、息を切らして母がやってきた。

「元也…!!」

母は涙目になりながら話した。

「あなたはもう一年間植物状態だったのよ!?先生も、もう余命は短いだろうって言われて…」

その後も話を聞いていたが、俺に何があったのか聞くと、母は少し目を逸らし、こう言った。

「原因不明の病らしいの」

驚いた。原因不明の病なんて、アニメや漫画でしか聞いたことがなかった。アニメや漫画では最終回には病気が治りハッピーエンドで終わるが、現実はそう甘くなく、病気が内蔵のどこの病気かもわからず、更には最新の機械を使い検査をしても病気の原因が分からないらしい。俺はショックだった。だって、もしかしたらそれのせいで死んでしまうかもしれない。13年のこの人生、めんどくさいことも多かったがなんだかんだ言って楽しかった。だから死ぬのが嫌だった。ショックを受けている俺を察して、親は俺を1人にしてくれた。その日は一日中寝込んでしまった。次の日、俺が起きると、メモを持った知らない人がベッドの横にいた。目を覚ました俺に質問をいくつも投げてくる。年齢は、病気は、感情は、様々なことを聞いてきたが、寝起きで頭が回らなかった俺は知りませんと言って誤魔化した。そして数分後、親がやってきた。すると、その知らない人と何か会話をしている。後で話を聞くと、その人は記者の人で、母の知り合いらしい。僕が寝込んでる間に、記者で様々なことを知っている彼女に相談したところ目を輝かせ、「いいネタになる」と言い、ここを1ヶ月に何度か訪れていたらしい。目が覚めてきた俺はなんとなく、その取材に応じることにした。その取材から数日後、新聞に俺が載ったらしく、白衣を着た女が部屋にやってきた。

「誰ですか?」

と聞くと、長々と国の研究者だとか、国に要請されただとか、君はいい実験材料になるだとか、話してきた。大人になっても厨二病の人なんているんだなと思いながら話を適当に流していると、俺の腕に注射を刺して、

「詳しいことはあっちで話そっか。」

と言った。注射を刺され気を失った俺は気がつくとコンクリートで囲まれた薄暗い部屋にいた。手足には拘束器具が取り付けられ、椅子に固定されていた。すると何人か人がやってきて、その中の一人、さっきの女がこう言った。

「私達は国の研究員でね。国から命令されて君を、いや、君の病気を研究することになったんだ。」

「…は?」

突然連れていかれたと思ったら、俺の病気を研究するだと?信用出来るわけが無い。とりあえず、断らないと。断る権利なら俺にもあるはずだ。

「嫌で…」

「あぁ、ちなみに君のお母さんとお父さんにも許可はとってあるからね。それに、なんの病気なのか分からない危険な物を街に置いておく訳にも行かないからね。もし逃げ出したら、国が総動員で君を捕まえると思うよ。」

「…けんな……」

「あ?」

「ふざけんなよ!!突然倒れたと思ったら謎の病気だとか言われて!!変な場所に連れてこられた挙句、病気が判明するまでここに拘束されるだと!!!納得出来るか!!!」「実験体に薬を投与しろ。」

「おい!!待て!!やめろ!!!」注射が刺され、遠のいていく意識の中で、僕は研究員のニヤケ顔を見た。俺はあいつを許さない。そのニヤケ顔をぐしゃぐしゃになるまで殴り続けてやる。そう誓った。

「ッッはぁ…!!」

目が覚めた。それは夢ではなく、現実。冷たいコンクリートの部屋で、俺は、船井元也は



四肢を見た


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る