モコロー３ 願いの子と烏帽子

第17話 凶暴王、爆誕！

「オラァァ、刹那（せつな）dynamic！」

デーモンが振るった棍棒が地面に触れた直後、周辺に稲妻が走った。

「！…怖すぎだろ。俺なんもしてないが⁉︎」

ロックは逃げる、走って逃げる。モコローも彼を追いかける。

「ちょ、どうすんの⁉︎あの厨二病は！」

「あんな意味不マン放置しとけ！じゃないと俺らが消される！」

「ておい、出口は…そっt」

ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫｫ

ボファァァァァァッ

衝撃で、ロックとモコローの上から大量の粉が降り注いだ。

「（おっと危ない！）」

モコローはギリギリで避けたが、ロックは頭から粉を被った。

「あ、まずい…。

モコロー、そいつから離れろ！早く！！」

叫ぶユーリホンに粉を見つめるモコローが驚く。

「え、なんで？」

「それはマーガリンタワーの秘密のレシピと呼ばれているヤバい粉だぞ！！

早く離れろ！！」

「もしやエレキッドの…」

「クソぉ、ルナティックパウダーの入ったコンテナを破壊しちまったか…」

↑デーモン

「ぐぐぐぐぐぐ…ググググググググ…ｸﾞｸﾞｸﾞｸﾞｸﾞｸﾞ」

ロックの目が変になる。

口調も変だ。

「俺が時の魔術師、ロックだ。この世界の時間は全て私の支配下であり…奴隷であり…武器である」

「「「（なんか変わっちゃった…）」」」

「おぉ、これぞ俺の内なる力…ザ・ワールD！！」

ｶﾁｬｯｯｯｯｯｯ……

モコローたちの動きが止まる。世界が灰色に包まれた。

「俺の時間を止める能力には誰も勝てない。つまり俺は負けない。そしていずれ、この世を支配するであろう…。

凶暴王（きょうぼうおう）…新世界の支配者の名だ」

先ほどまでエセ厨二病に説教をしていたツッコミ役が、厨二病に戻ってしまった…！

その男の名前は、皆んなのツッコミ担当…ロック・テスラ。

一方ハンマードは木箱の裏で、この惨劇を見ていた。

「（なんだありゃ。ロックが壊れた…いや、すでに壊れてるけど、もっと壊れた！）」

音を出さないよう忍び足で逃げるハンマードの気配に、凶暴王（ロック）が気づく。

「そこにいるのは誰だ？」

「（ヤバいヤバい、バレたかも）」

「どうせネズミか虫だろう…」

ロックが離れようとした事に、ハンマードはホッとする。

だがロックは、その一瞬を逃さなかった。

「やはり そこにいるだろう、ハンマード！！」

「なんでバレるんだよぉぉぉぉ！ｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧ！！」

冷静さを失ったハンマードがハンマーを持ってロックに突っ込む。

「慌てるな、負けるぞ」

ｶﾁｬｯｯｯｯｯｯ……

ハンマードの動きが止まる。いや、時間ごと止まった。

「この空間にいる奴らは全て、俺が倒す。俺が止める」

全てを止める絶望と厨二病を纏った凶暴王（ロック）は、地上に戻るべく出口を探し始める。

「あ、出口見つけた」