ライトノベルの快楽 序論
とり
1.はじめに
ラノベって何?って疑問に「読むことについて」から始めたい、と思うようになりました。これまでライトノベルを読んできたものの、どこか「どのように作品を評して良いのかわからない」という気持ちがありました。
そもそも、定義自体が曖昧なものです。一般文芸とは少し異なるものであるという実感はあるものの、とはいえ、作品の内容から明確な定義を与えることはできませんでした。ですから、ライトノベルというものをどのように捉えるか、という段階で躓いてしまい、どう評して良いのかが足がかりがなかったのです。
ライトノベルや一般文芸を含めた作品には、音読というものがあります。文章を校正する際に、音読してスムーズに聞こえるかを判断基準に「わかりやすい」文章と評価することがあります。しかし、ライトノベルとして適切な文章は、この円滑さだけではなく、音読した時にその語が発するかのようなリズムや音の心地良さも「わかりやすさ」に寄与しているように思われます。
これは、実際に音読して聴覚的に経験される楽しさとは限りません。黙読している時にもあたかも聴こえてくるようなリズムがあり、そこにライトノベルらしい独特の感覚があるように思われるのです。
このリズムのように、ライトノベルには独特の楽しさがあり、そこから批評が始められるべきなのではないかと思います。
本論では、ライトノベルを読む快楽から批評を始めるべきということについて書いてみたいと思います。
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