第81話 奴隷達


「サイにアヤは服はこれを着なさい」

 とルビーが渡す。

「ありがとうございます」

 まだ意識が戻らないアヤに着せていく。

 ガンツ、ウエンツ、サインツはこちらを見ている。

「3人でどれだけ仕事ができる?俺たちは「シャーラップ」え?」

「ケント?それは極秘事項よ?」

「…はい」

 

「よし着替え終わったわね?じゃあ、いくわよ!」

「「「「「「はい」」」」」」

「はやく!ケントが先頭よ?」

「…分かったよ」

 先頭も何もないと思うがな。

 宿屋は俺たちで貸切状態になってしまった。

「ガンツ?貴方には城を作ってもらうわよ?」

「え?城ですかい?またなんで?」

「私達は今から国を作るの!動具は片っ端から揃えてちょうだい。いいわよね?ケント?」

「あぁ、大丈夫だ」

「へい!ではご主人様!」

「ケントでいい」

「じゃあ、ケント様!買い物に行きましょう!」

「そうだな」

「ウエンツ!サインツ!いくぞ!」

「「へい!」」

「私達は服を買いに行くわよ!あと彫刻に必要なものもね」

「はい!」

「サイはここで妹の近くにいていいわ」

「わかりました」

「さあ!張り切っていくわよ!」

 と、買い物に出かけると、ガンツは遠慮なく道具を買っていく。まぁ必要なのだろう。

 サインツは木材の買い付け、ウエンツは石材の買い付けに走る。

「親方これだけあれば足りますか?」

「バーロー!これっぽっちじゃなんの足しにも何ねえぞ!もっとだもっと!」

「材木もまだ多くいるぞ!多くなっても大丈夫だ!なんとケント様は収納持ちだ!」

「わ。分かりました!」

「へい!」


「買ったな」

「へい!買いましたね」

「石材屋のくせに値切りが手強かったっすけどね」

「材木屋もそうだ!」

「あとはガンツ達の服だな」

「あ、ありがとうごぜえます」

 露店をぶらつくとあったので買っておく。

服屋に行きドワーフの服は取り揃えが悪かったがセイランにでも作ってもらうか。取り急ぎ必要なものは買ったしな。

 そして露店を回って、

「解呪」

 金貨が結構多いな。あ、やっぱり奴隷商のものか。

「ほれ、ガンツに渡すよ」

「えっ?これは?」

「マジックバッグだ。それに道具類は入れておけ」

「へ、へい、あ、ありがとうごぜえやす」

 と泣くガンツ。

「行くぞ」

「「「へい」」」

 喫茶店にいき、好きなものを頼ませる。

 夕食もまだあるから軽めに頼めよと言って、俺はコーヒーを頼む。

 ガンツはハンバーガー、ウエンツはサンドイッチ、サインツはパスタだった。

「う、うめぇ!」

「美味しい」

「あ、味がする」

 サインツは舌もダメになっていたんだな。

 泣きながら食べる3人を見ながらコーヒーを飲む。


 腹が膨れたのかうつらうつらとし始めたので宿に戻るぞと言って戻ると、

「おっそい!なにしてたの?」

「石材や木材がいるだろ?」

「あぁ、そうね。ごめんなさい」

 喫茶店に寄ったのは内緒だ。口に手を当てるとガンツ達はこくりと頷く。


「で?そっちの方は?」

「バッチリよ!それでこれなんだけど」

 とバッグを出してくる。俺も買ったんだがな。

 解呪していくとこれまた大量の金貨の入ったマジックバッグが混じっていた。

 まぁ、収納に入れるがそれと一緒に督促状なんかもあったので借金取りのバッグか、後は金貨の他に武器や防具が入っていたり、非常食が入っていたりしたので軍人のバッグかな?


 中身をからにして渡すとケイトとサイ用に取って後は渡してくるので受け取る。

「あれ?ガンツも持ってるの?」

「露店で見つけた」

「そう!良かったわねガンツ!」

「へい!ルビーさん!」

 それからみんなでサイのところに行くと妹が目を覚ましたようで抱き合って泣いていた。

「あ、ご主人様!アヤが目を覚ましました」

「アヤでございます。よろしくお願いします」

「あぁ、よろしくな、ケントでいい」

「ケント様ですね、わかりました」

「よし男どもは部屋に戻ってよし!後は女同士で服とかあるからね」

 とリシェルとルビーに追いやられた。


「ガンツ、部屋はわかるか?」

「へい!」

「呼びに行くまでゆっくりしていてくれ」

「い、いいんですか?」

「うちはこれが普通だ」

「へ、へい!」

 と言って部屋に入っていく。


 まぁ、飯も食わせたし服も買ったから少しは気が楽になっただろ。


 俺も自分の部屋にいくとクオンやダウンと話をする。


「それじゃ大工なんかは確保できたんだね!」

「あぁ」

「ようやく男が増えましたね」

 それが一番でかいな。

「三人な!」

「イェーイ!三人でも増えて嬉しいっす」

 だが女も三人増えたのだ。

 あっ!そうだった、馬車の準備もしないとな。

 などと思ってるとダダダダと駆け降りていく音がする。

「さぁ、飯だな」

「っすね」

「ダウン、ガンツっていうから呼んできてくれ」

「うっす!」

 さぁて、六人も増えてしまったからな。

 というかまだ増えそうな雰囲気がするのは気のせいか?

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