第44話 パイフン
「美味いなぁー!」
「じゃろ?こりゃミード酒の蔵元からもらったもんじゃ」
「ほぉ、だからこんなに華やかなんだな」
とボン婆と親父さんは楽しく飲んでいる。
他はいつもと一緒だ、
「あ!ダウンそればっか食い過ぎだろ」
「美味いんだからしょうがない」
「それをこっちにも回しなさいよ!」
「また頼めば良いだろ?」
と騒がしい。
(ハハッ、これが楽しいんだな)
「…セイランはもう慣れたか?」
「むぐ、もぐもぐんくっ!ッハ、急に話しかけるからびっくりしちゃった。うん!慣れると楽しい!」
「…そうか」
「そうそう、あ!それ私も食べてない!」
「慣れすぎだな」
セイランには醤油と味噌をお願いしているがまだ熟成中らしくて出来ていない。
裁縫で服のサイズを調整したりはしている様だが。
夕食が終わると親父さんを送って行く。
すると背後から殺気があったので避けると、
「…またお前らか」
「てめえに切られた腕が痛むんだよ!」
「そうか、じゃあ今度は死ぬんだな?」
「お前がな!」
と剣で倒す。
倒れた相手の奥には2人がいる。
「なんだお前たちも死にたいのか?」
「も、もう関わりたくねぇ!」
と1人は逃げたがあと1人は、
「今度こそ殺す!」
「そうか」
剣で打ちのめし、2人担いで門兵のところに行くと殺人未遂で奴隷落ちだ、鉱山奴隷にちょうど良いだろう。
渡して宿に帰る。
次の日もオリハルコンサーペントの血を樽に移すために樽を多く用意した様だな。
「じゃあ出してくれ」
「…」
「おら、じゃんじゃん出てくるぞ!さっさと汲み取れ!」
とようやく血を樽に移し替え終わると今度は解体だ。
表皮がオリハルコンの混ざった表皮がになっているので皮を剥がすのも大変だ。
鱗一枚でもそれなりの値段がするだろうな。
オリハルコンサーペントの肉は美味そうだったので1ブロックもらい、あとは鱗を何枚かと皮を半分もらう。
「全部売るんじゃないのか?」
「悪いが気が変わった、仲間の防具を作りたいんでな」
「それじゃしょうがねえな」
そして売値は、
「き、金貨10000枚だと!」
「それが解体場からの紙だからな」
「わ、分かった支払うよ」
収納に金貨10000枚を入れてギルドを後にする。
仲間を連れて来たのは親父さんのところだ。
「これで仲間の防具や武器を作ってくれないか?」
「これがオリハルコンサーペントの皮と鱗か」
「いいね!綺麗な藍色だ!私はダガーがいいな!」
などとみんなの注文を聞いてまわる親父さん。
(まぁ、うれしい悲鳴だろうな)
みんなは楽しそうにしているしこの街も作り終わったらおさらばだな。
10日後には皆の防具屋武器が揃った。親父さんが頑張って作った武器はどれも綺麗な藍色をしていた。
「んじゃー出発じゃ!」
「「「おおー」」」
と門を潜り馬車で道なりに進んでいく。
次の街までは5日、それの間に村があるのでそこで一度休憩だな。
2日野営をして3日目には村に到着した。
ここは火酒を作ってる村だそうでボン婆が張り切っている。
「火酒は火がつくほどアルコールが高いぞ!」
「そんなの飲むのか?」
「普通に飲めますよ?」
とレアルが言うがレアルはドワーフだからな。
この村の火酒は有名だそうで、
「わしゃ飲むからの」
「…分かった」
「いやったー!火酒じゃー」
宿に泊まって火酒を頼むボン婆とレアルは2人ともうまそうに飲むがボン婆は火を吹き、レアルは酔っ払った。
「…だからやめときゃ良いのに」
だが癖になるそうでそれからも飲み続けると、ベロンベロンになっていた。
次の日は2人とも二日酔いでダウンしている。
「あーあ、しょうがないっすね」
「あぁ」
回復魔法は使わずにちょっとは反省させる。
「後生じゃ、回復を」
「ダメだ、また飲むんだから少し反省だ」
「いてててて」
セイランは買い物し隊に入った様でみんなと買い物をしているがやはり自分の気に入ったのがなく自分で作ると裁縫道具と布を買って自分好みの服を作っている。
それが好評で布屋に最近ハマっている買い物し隊はこの村でも布を買っていた。
村は長閑で良さそうに見えてやはり火酒があるのでここはダメだと言うことになりまだ旅は続く。
2日間野営をしながら進むと次の街に着く。
ルビーはここを知っている様だが、
「ここか?ダンジョンのある場所は?」
「そうよ、私をあんなふうにした場所がここよ」
「そうか、賑わってるんだな」
「そりゃそうよ!帝都でいちばんの街ね、ダンジョン街パイフンっていう街よ」
「…大丈夫か?無理はしてないか?」
「正直この街にはあまり良い記憶がないけどケントたちと一緒だから大丈夫よ」
「…そうか」
馬車2台はかなり目立つ様でさっさと宿に入る。すると、
「あ、ルビー?ルビー!心配してたのよ!出て行ったっきりで!よくもどってきたわね!しかもまた美人になって!」
「女将さん…前はごめんなさい、あんなことになっちゃって、私どうしたら良いかわからなくて」
「良いのよ!あいつらはすぐに追い出したし!私はルビーちゃんの味方だからね」
「…女将さん」
「良かったよー」
(なんだかんだ言って良い人はいるもんだ)
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