魔導機戦記

ノデミチ

召喚

第1話 勇者と呼ばれて

 魔導機マナギレム

 魔結晶を核として動く人型の機械騎士。


 大型魔物が跋扈する世界ヴィルセニアで、人々は魔物退治の力として、魔結晶を核とし、人が持つ魔力を媒体とする魔導具を造り上げ、その導具を用いて魔法を繰り出していた。


「もっと強い魔法の力を!剣の力を」


 魔導具は大きくなり、遂には人型の機械騎士を創り上げようと試みる。


 だが、開発は容易では無く、しかもそれだけの巨大な魔導具を動かせるだけの魔力を持つ人物さえヴィルセニアでは珍しいと言えた。


「ならば他の、そうだ!異世界に居るであろう人型機械を造り上げられる者を。動かせるだけの魔力を持つ者を召喚するのだ‼︎」


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 いきなり何処かの神殿みたいな中の大広間で、中世の神官や騎士に囲まれて「よく御出でくだされた、勇者の方々よ」なんて言われても、全く実感湧かない訳で。


 は?マジで?


 異世界召喚?


 周りを見ると、他にも数人の男女がいて。

 あれ?彼は?まさか?


「ボビーかい?」

「そう言う君は、ヒカルか」


 アニメ仲間の、確かオーストラリア、シドニーに住んでるって言ってた同じ高校生の。顔出しチャットでも話した事あったし。勿論翻訳アプリ必須だったけど。


「普通に会話出来る。なるほど。本当に異世界っぽいね。ヒカル、今君は日本語だろ。コッチは英語で話してる」

「うん。まるでボビーが日本語流暢に話してるとした思えない」


 目の前の少年は、金髪碧眼で間違っても日本人には見えない。それにボビーは日本語は『トーキョー』『ナリタ』位の地名程度しか知らないって言ってたし。日本アニメの大ファンではあっても、吹替版しか見てないんだとか。


「同じだ。私もヒカルが英語ペラペラだって思う」

「授業で習うカタコトしか解らないよ」


 そうこうしてる内に、他の人達も起き上がってする。

 そう。

 僕達は、神殿の大広間に倒れ込んでいたんだ。


「勇者の方々、どうぞ、此方へ」


 騎士の男性に導かれて、僕達は奥の部屋へ。

 そこで、僕達は、置かれた状況や世界の情勢を聞かされたんだ。


 ここは異世界ヴィルセニア。

 魔物退治の導具として魔導具があり、それを使って人は魔法を駆使しているんだとか。


 その延長としての人型機械~魔導機マナギレム。造り上げる技術者もだけど、もうある程度量産出来る様になっていて、その操者としての勇者召喚を行ったのだとか。


「この世界には内燃機関が無い。創り上げようにも、今度は燃料確保が出来なくてね。石油処ろか石炭すら存在しないのだから」


 僕等の前にある魔導機マナギレム

 高さは10m程か?どう見ても甲冑騎士。しかも武装は剣しか無くて。


「飛び道具は?」

「銃もだが、そもそも火薬が無くてね。弓矢を持たせるのもどうかと思うし。それにね。此奴は確かにロボット兵器だが、一方で魔法の発動体たる魔導具なんだよ。だから飛び道具、つまり火器は両腕にある魔結晶より発動する魔法攻撃と言う事になる。勿論動力もね。胸部にある核魔結晶に魔力マナを注ぐ事で起動するんだ」


 説明してくれる若い技師。

 なんでもマサチューセッツ工科大で義手等、身体の代用となる器具の研究をしていたロボット工学者の生徒タマゴだったらしい。

「アラン=パーカーだ。よろしくな。勿論米国人アメリカンだ」


 僕達も慌てて自己紹介する。


「ボビー=マイルズ、オーストラリアです」

「大和光。日本人」

「ヤン・ファーレン。中国よ」

「アルベルト=ハインツ、ドイツ出身」


 そこにやって来たのは騎士?いや、なんか雰囲気が違って…。


「彼はエリック=ホーキンズ。イギリス人でこの魔導機マナギレム騎団の副団長でもあるんだ。運用面なんかは彼に聞いた方がわかると思う」


 僕等と同じ召喚者エトランゼなんだ。


「君達が新たな召喚者か。よろしくな」

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