見破られた罠

 ====== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。

 久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。

 大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。

 福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。

 依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。

 服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。

 南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。

 山城みどり・・・山城順と蘭の娘。

 愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。


 愛宕寛治・・・悦司の父。警視庁警部。

 物部一朗太・・・満百合の父。モールの喫茶店アテロゴのマスター。


 鈴木栄太・・・校長。

 根岸淳・・・副校長。

 大場留吉・・・教育長協議会会長。


 麻布幸恵・・・根岸の協力者。

 堀江塔子・・・根岸の協力者。

 船田哲夫・・・健太郎達と同学年。

 氷川英一・・・健太郎達と同学年。

 依怙田徹・・・週刊誌記者。

 藤堂所縁(ゆかり)・・・健太郎の担任。

 高峰舞子・・・教育実習生。みちるの姉くるみの娘。


 ==============================

 ==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==


 午前9時。小学校の登校日。

 副校長の、異様に長い挨拶が終ると、校長が朝礼台に登壇した。

 すると、健太郎達の同級生二人が追いかけっこを始めた。

 4組の船田と、氷川だ。

 そこへ、父兄らしき女性が二人、近寄ってきた。

 危ない、と感じた健太郎と悦司は、体が先に動いた。

 船田達が、女性二人にぶつかった、と思えたが、その前に立ちはだかった悦司と健太郎が『盾』、いや、バリアーになっていた。船田達は尻餅を着いた。

 校門の付近に異変を感じた、藤堂もすぐに校門に走った。

「私の挨拶が待てなかったかな?熱中症にならないように、タイマーをセットしているんだが。」

 生徒達は笑った。鈴木校長は、高峰舞子を紹介した。

「新学期から、皆に教えに来る予定の高峰先生だ。」

「教育実習生だから、まだ先生じゃないんだけどね。先生の見習い、いや、タマゴかな。新学期からよろしくね。高峰舞子です。私も、この学校を出たの。鈴木校長先生が来られた時、コロニーが終った後でね。コロニーの時中止だったから、6年生は皆運動会知らないで卒業するところだった。でも、校長先生が、ミニ運動会を開いてくれて、想い出が出来た。だからね、先生は、先生になることが夢だったのよ。よろしくお願いいたします。」

 皆が拍手した後、朝礼は解散、1時間だけ補習になった。

「根岸副校長。今の騒ぎは、未遂に終った事件だね。年齢からすると、2019年に起った岐阜県の児童高齢者衝突事故の該当者だね。折角、副校長になったのに。そうか。今日は、あの日だったか。」

 鈴木の、突然の話について行けず、藤堂は質問した。

「校長先生。どういうことです?」

「コロニーが流行る少し前だった。岐阜県で、ゲートボールの練習をする予定の高齢者達が、子供達のじゃれあいで、ぶつかられてしまった。裁判になってね。結局、骨折させた子供達の父兄が、賠償金を払うことになった。不幸な事故には違い無いが、何故高齢者の老人クラブに校庭を貸したのか?が一番の問題だった。判決は、無責任なスケジュールを組んだ学校にも責任がある、と責任を厳しく言い渡した。根岸君は、その当時の生徒だね。何故、教育者になった?復讐の為か。」

「未遂に終ったとは言え、何らかの責任は負って貰わないとね、根岸副校長。」と、タブレットの向こうの大場教育長協議会会長は言った。

 午後1時。喫茶店アテロゴ。

「週刊誌に書かせる事件を目論んでいたのか。執念深いな。いくら、賠償金で苦労したって。自分自身が教師になって、考えが変わらなかったのか。」と、物部は憤った。

「鈴木校長は、何とか穏便に済ませたいようですが、混乱を目論んだから、何らかの罪に問われますね、根岸副校長は。女性二人と生徒二人は、厳重注意で済んでも。」

 愛宕の言葉を聞いていた健太郎は、「そうだ。警部の姪っ子さんが教育実習生で新学期から来てくれるらしいよ。」と、愛宕の話をそらした。

「ああ。よろしくな。確か舞子ちゃんは、バレーボールやってたから、機会があれば、ミラクル9にコーチして貰いなよ。」「うん。」

 物部は、にっこり笑って、「お代わりは、どうですか?お客さん。」と言った。

 ―完―


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