サイクルドラレコ

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =======

 ============== 主な登場人物 ================

 物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。

 久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。

 大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。

 福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。

 依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。

 服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。

 南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。

 山城みどり・・・山城順と蘭の娘。

 愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。


 愛宕寛治・・・悦司の父。警視庁警部。

 久保田誠・・・健太郎の父。警視庁警部補。

 草薙あきら・・・元ホワイトハッカーで、EITOに出向していた、警視庁職員。今は発明家になっている。

 龍吾郎・・・五反田署警部補。


 ==============================

 ==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==


 2035年の未来でも、自転車の事故や電動キックボードの事故は絶えなかった。

 発明家になった、草薙あきらの発明が、自転車用のドライブレコーダー『サイクルドラレコ』は、特許を取った。

 その試作品は、健太郎の自転車に取り付けられた。

 夏休みに入って、健太郎は、五反田のサイクルロードセンターまで、皆で自転車に乗って移動していた。

 正午。五反田のエリアに入った時、前方を走っていた高齢者の自転車が、突然、一方通行を逆走してきた、スライドドアの軽自動車に撥ねられた。

 健太郎、悦司、おさむは、その軽自動車が走り去ろうとしたので、回り込み、停止させた。

 めぐみは、すぐに110番をした。

 健太郎達が軽のドライバーと言い争う内に、パトカーと救急車が到着した。

 高齢者の男性は、見ただけ分かる、骨折をしていた。

 午後1時。五反田署。取り調べ室。

「急に飛び出してきたんですよ。接触事故だったのは間違いない。でも、俺は悪くない。急ブレーキをかけた。だから、死なずに済んだ。子供達は、見間違えたんだ。事故だったんだ。轢き逃げしようとしたんじゃない。子供達のことを信用するのかよ。」

 取り調べ室に、1人の男が入って来た。

「丸髷署の愛宕です。」と、男は自己紹介した。

 そして、用意したタブレットの画像を、轢き逃げの被疑者に見せた。

 軽自動車の、一方通行から逆走してきて『飛び出した』動画だった。

「他の子のスマホにも映ってますけどね。」「捏造だ。合成だろう?」「合成?そんな時間は無かったし、合成作る理由もない。ドライブレコーダーって知ってます?」

「他のクルマはいなかった。」「それは確認したんだね。ドライブレコーダーは、今はクルマ以外にもある。」

「嘘だ。嵌められたんだ。俺は、えん罪だ。あんた、丸髷署って言ったな。管轄外じゃないのか?」

「五反田署と丸髷署は『仲良し』なんだよ。今は、都道府県越えても、『仲良し』だけどね。」

 初めから、被疑者の前に座っている、龍警部補は言った。

 ドアをノックして、他の警察官が入って来た。

「一歩通行の出口側近くで目撃証言が取れました。それと、轢き逃げされた高齢者のスマホのGPS記録もアプリの会社から情報提供して頂きました。」と、久保田警部補は言った。

「終ったな。」龍警部補は冷然と言った。

 午後4時。

 サイクルロードセンターにいた、健太郎のスマホが鳴動した。

 テレビ画面には、久保田警部補が映っていた。

「表彰ものだな。草薙君も、我が息子も。ああ、それから。引かれた高齢者男性は全治2ヶ月の骨折らしい。」そう言うと、画面は切れた。

 覗き込んでいた、ミラクル9の面々は、顔をほころばせた。

「入場料、払ったよ。」と、満百合が言いに来た。

 ―完―



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