東京一輪車演技大会
======== この物語はあくまでもフィクションです =======
============== 主な登場人物 ================
物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。
久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。
大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。
福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。
依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。
服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。
南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。
山城みどり・・・山城順と蘭の娘。
愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。
依田俊介・・・悦子の父親。ホテル支配人。
依田慶子・・・悦子の母親。ホテル副支配人。
草薙あきら・・・元EITO出向の警視庁事務官。
大文字伝子・・・おさむの母。EITO東京本部隊長。翻訳家。
大文字学・・・伝子の夫。おさむの父。小説家。
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==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
※恒例の、「東京一輪車演技大会」が足立区総合スポーツセンターで行われていた。
ミラクル9のメンバー、依田悦子は、Bグループ(初心者の部)のS1(ソロ演技小学生以下の部)に出場していた。それで、悦子の親である依田夫婦が応援に来ていた。
午後2時。足立区総合スポーツセンター。
依田と、他の出場者の親が、審判に詰め寄っていた。
普通乗車、前進、バック走行、片足、タイヤ乗りまでを2分00秒持続することが、合格の条件らしい。
悦子が合格したのに、他の出場者片山継男の父親透が、審判に食ってかかった。
継男は、悦子の前の順番で、惜しくも2分持たなかった。
透は、悦子が、途中、足を突いたから失格だと言い出したのだ。
審判は、そんな筈はない、と思いながらも、透のあまりの勢いに戸惑っていた。
そこへ、草薙がデジカメで撮影していたので、審判に差し出した。
片山透は、舌打ちをして、渋々継男を連れて退場した。
途中で、継男は引き返して、悦子に「父が失礼なこと言って申し訳ない。君の演技は、素晴らしかった。来年は負けないからね。継いでみたいで恐縮ですが、僕と付き合って下さい。」と、手製の名刺を悦子に渡して、深くお辞儀をした。
「いいよ。友達からね。まだ、『大人のお付き合い』は出来ないからね。」と言い、継男と握手した。
草薙は、拍手をした。草薙に連られて場内からも拍手が起った。
透は、バツの悪そうな顔をした。
「健太郎君。大工の棟梁に認められたんだって?ちょっと、手伝ってくれないかな?見ての通り、指を怪我しちゃったんだ。」「喜んで。」
午後4時半。ホームセンター。
競技を見終わった、ミラクル9は、大きなホームセンターの店内を見ながら健太郎と草薙について行った。
悦子は、合格はしたものの、総合点で優勝は叶わなかったので、丁度いい気晴らしだと思った。
午後5時半。草薙発明研究所。
健太郎は、草薙が指示する通りに、引き戸の戸車を外し、勝って来た戸車と交換した。
「やっぱり、健太郎君は器用だな。助かったよ。煎餅しかないけど、皆で食べて行って。」
そう言うと、草薙はジュースと煎餅を用意した。
午後7時。伝子のマンション。
「おさむ。ひょっとして、競技始まる前、草薙さんは包帯していなかったとか?」
「よく分かったね、父さん。」「お前の解説の仕方から、簡単に推理出来たよ。お前は気がついてた。でも、黙ってた。」
「偉いぞ、おさむ。今夜はかあさんと風呂入ろうか?」「やだ、思春期の息子だよ。」
大文字夫婦は、大笑いした。
―完―
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