第5話:人とガイノイドの本質。

さて〜右欄ちゃんとのデートの当日。


亜斗夢はウハウハでミルクシェイクに右欄ちゃんを迎えに行った。

右欄ちゃんはミルクシェイクの店の二階に他のメイドさんたちと一緒に

暮らしてる。


僕は店の裏の勝手口から顔をつっこんで右欄ちゃんを呼んだ。


「右欄ちゃ〜ん・・・お迎えだよ〜・・・亜斗夢だけど〜」


そしたら杏ちゃんが顔を出した。


「おっはよ、亜斗夢ちゃん」


「おはよう、杏ちゃん」


杏ちゃんのすぐ後ろに玲ちゃんがいた・・・で、その後ろに右欄ちゃん

いて僕に向かって手を振った。

当然、僕は手を振り返すわけで・・・。

そしたら玲ちゃんが手を振り返した。


右欄ちゃんだって・・・玲ちゃんじゃなくて・・・。


三人まとめてデートってのもありだなって亜斗夢は、いけないことを

つい考えてしまった。

そんな不謹慎なこと考えるだけでもアウトだろって自分を戒めた。

僕は右欄ちゃん一筋なんだからな・・・。


ヤリはしなくても男って、時々そんなことを考えるんだよな。

ヤリはしなくても根っからの浮気性なのかもな、男って・・・。

脳内で考えることと行動は別物・・・それが理性ってもん。


ガイノイドだって人間の女性の基本的な部分をインプットされて

作られてるんだろ?

だからさ、いやらしいって言うかエッチい部分だって持ってるわけだろ?

ヤッたことなくてもエッチの仕方だって知ってるはずだよな。


って僕はなにを考えてるんだろ?


「遅いな〜右欄ちゃん」


そしたら二階から右欄ちゃんが降りてきた。


「お待たせ、亜斗夢ちゃん」


そしたらすかさず玲ちゃんが言った、


「亜斗夢〜ドジ踏むなよ」


「玲ちゃん。ご親切に・・・余計な御世話だよ」


「ちゃんと右欄ちゃんエスコートしないとデートは今回限りで、おしまい

なんてことにならないように・・・ちゃんとしろよ」


「だらさ、玲ちゃんは僕の母ちゃんでも姉ちゃんでもないんだから

クチ出ししないでほしいな〜」


「あななたちデートしたら?」


右欄ちゃんが不機嫌そうに言った。


「あ、ごめん・・・そういうんじゃないから僕たち」


「そうだよ右欄ちゃん、亜外夢は私のタイプじゃないから」

「百万年口説かれてもないから・・・ずえ〜ったい」


「それよりふたりとも仲良くね」

「めでたく彼、彼女になれたらお祝いしてあげるわ」

「いってらっしゃい」


玲ちゃんと杏ちゃんに見送られて僕らは、店を後にした。

しばらく歩いて商店街へ。

デートって言えば遊園地、まずはアミューズメントパークだよな。


そのまえにカフェにでも寄って何か食うかな。

朝飯食ってないし・・・。

だから右欄ちゃんをいざなってオープンテラスに座った。


「右欄ちゃん・・・朝ご飯食べた?」


「まだだよ・・・って言うか・・・ガイノイドだからご飯食べないもん」

「あ・・・そうだった・・あ〜つ、ついつい人間の女の子と錯覚しちゃった」

「ごめん・・・・」


まあそれだけ、ガイノイドと人間の女の子は遜色がないってこと。

ガイノイドは自分がガイノイドだよって言わなきゃ分からない。

僕はミルクシェイクのメイドさんはガイノイドだって知ってるからね・・・。


「いいけど・・・あのね亜外夢ちゃん・・・亜外夢ちゃん人間の女の子と

お付き合いすればいいのに・・・なんでガイノイドって言うか私じゃ

なきゃいけないの?」


「あ〜僕、人間不信って言うか女性恐怖症なんだ・・・あることがあって

人間の女性は受け付けなくなっちゃって・・・」


「そうなんだ・・・でもガイノイドだって人間の女性と同じで感情持ってるよ」

「笑うし、泣くし・・・怒るし、わがままだって言うし・・・喜怒哀楽だって

あるんだよ」


「私だって同じだよ・・・亜外夢ちゃんは私になにを求めてるの?」

「ガイノイドは人間より無感情で性格的に穏やかだから自分だけの人形に

なってくれるって思ってるの?」


まったくもっても的を得た言葉だった。


つづく。


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