孤独少女の夢
ゆのみのゆみ
第1話 孤独少女は起きない
私は本当だめなやつだ。
何もできない。
何もできず、年だけ食っている。
終わり。
だからもう終わりなのだろう。
終わっている話で。終わってしまった話で。そういった類のものなのだろう。そしてだからこそここから始まる事は無い。だけれど、私はここから語ることになる。
終わってしまったこの場所から語るしかない。結局のところ私は生まれた時から終わってしまっていたのだから、もうそういう運命でしかないのだろうと思わずにはいられない。
こんなことを独白してみたって、何も世界が変わる事はなくて。私の世界を取り巻く環境は、いつだって先に進もうとしている。いつだって、先に進もうとしている。誰もが先の環境へと進んでいく。私は置いていかれるだけずっとそうだ。ずっと私は置いていかれるだけ。
私はずっと深い闇の中にとどまったままずっとそのままだと言うのに、周りの人はずっと進んでいく。
いや、もしかしたら私は生まれてすらいないのかもしれない。私はまだ既に死んだ母の腹の中。腹の中ですらないのかもしれない。私と言う存在は、空想以下の希薄な矮小な存在でしかないのかもしれない。
そんなことを思わずにはいられないけれど。
でも、私はそれでもなぜか息をしている。
この生苦しい世界を息をしている。
私の生活は何も起こらない。
生活としてすら成り立っていないのかもしれない。
私は今まで一体何をしてきたのだろう。ただ罪を重ねてきただけだろうか。ずっとそうなのだろうか。過去を振り返ってみれば、私の私の過去は後悔ばかりで悲しくて辛くてでも、それは私の身勝手の妄想でしかなくて。
結局のところ、悲しくて、辛いのは、私以外の人なのだ。私はきっと別にそこまで傷ついてはいない。私は多分そういう感情は得ていない。でも私はとても悲しい。
悲しくて、悲しくて仕方がない。ずっと悲しい。何もかもが悲しいんだ。でも悲しくて、悲しみが止まらなくて、それをなんとかしようと思ったところで、結局また悲しみが増えるだけなんだ。それがわかっているから、私はただ悲しみの中で息をするだけ。
何度か変わる機会がきっとあったのだろう。
でも、それを私はきっと投げ捨てた。
きっと、この世界、優しい人ばかりだから、私とは違って優しい人ばかりだから、私のようなものに手を差し伸べてくれる誰かがきっといたのだろう。それは親かもしくは友か。
それとも恋人か。
けれど、そんなもの私には見えなかった。
私はきっと助けられる準備ができていなかったのだと思う。そしてそれは今も同じ。私は助けられる準備ができていない。
だから誰も私を助けることができない。
だから、私はいつまでも独り。ずっと独り。どこまで行っても独り。
前述した通り、私には親がいた。大抵の人にはいるのだと思うけどまぁともかく、私には親がいた。
まずはその話から始まるのだと思う。結局のところ。
大抵の人は、親との関係から始まる。
そういうものなどだと思う。
親との関係があまりうまくいかなかったのが原因なのだろうか。それが私の孤独の原因なのだろうか。
もう彼らは死んでしまったから、私にはもうわからない。けれど、きっといい親だったのだろう。
私にはわからないけれど。私にとっては敵でしかなかったけれど。でも、いい親だったのだろう。
そう、世間は言うのだろう。
でも、それは私とは違う。
だから私は孤独であると感じる。
でも、もしも私が彼らを言い親だと感じれる人だったなら、私はきっとこんなふうに生活はしていない。
息をするだけの生活をしていない。この生苦しい世界で息をするだけの生活だなんて、きっとしていない。それぐらいには私を信じても良いのだろうかいや。それは違う。きっと私が私でなければ私は孤独ではなかっただろう。
今の私の生活はとても単純で簡単なものだけれど、でも、それは諦めと孤独の裏返しであることを私は知っている。そしてこの生活がに不安定で、意味や意義が薄く、そして壊れやすいことを。
私は今、国からの助成金により生きている。
孤児には、それなりの助成金が下りる。
それで私は食べているけれど、それを心快く思わない人が多いことぐらいは私にもわかる。でも、私にはそれ以外の選択肢はなくて。
正確にはあった。選択肢ぐらいはあるのだけれど。でも私にはできない。私は働くことができなくて、人と関わることができなくて誰かが働いていたお金によって収められた税金により命をつないでいる。
ただの、税金泥棒なのだ。私に未来は無いのだから、私などに税金を払うということは、ただの税金の損失でしかない。そしてそれを望んだのは私なのだから、私は税金泥棒なのだ。
結局のところ、こうやって何もせず過ごしていること自体が迷惑なの。だから、きっと生きていることが迷惑なのだ。私が生きている事は、世界にとって不幸なのだと思う。世界にとっての損失なのだと思う。
だからこそ、私は早く死んだほうがいい。そんなことぐらいは私もわかっている。わかっているけれど、死ぬことなんてできない。
死ぬ事はとても難しい。だから私には無理だった。
幾度となく試した事はあるけれど、結局決定的な場面に行く前に私の心は折れる。私の弱い心は壊される。だから私は死ぬことができない。
何度も早く死んでくれと願うけれど。
そんな夢を何度も見るけれど。
でも、私はいつまでたっても息をしている。
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