ピンク髪の少女は、だいたいヤンデレなので、関わらないようにしてたのに……なんで?

ふおか

ピンク髪少女


俺こと、大葉大智おおばたいちはラノベが好きだ。

急に何の話かと思うかもしれないが、とにかく俺はラノベが好きだ。

ラノベの中でラブコメというジャンルが好きで、図書館に行っては読んだりしている。

そして今日もラブコメを読んでいたのだが、


「はぁ……ほんとーに、ピンク髪のヒロインはヤンデレしかいねぇのかよ!?」


俺は頭を抑えながら大きな声を出した。

そして叫んだ声がなくなり、辺りは静まり返った。


「あぶねー。図書館で読まなくて正解だったわ。今日は家に親居ないし大丈夫だろ」


家に誰も居なくてよかったと安堵したのも束の間―――部屋の扉を蹴る音がした。


「お兄ぃちゃぁぁん!うるさぁい!」


ドゴォんと音をした方に振り向くと、端整な顔立ちに、綺麗な空を模したような瞳、そして長くも短くもない綺麗なピンク髪をしている、ひとつ下の俺の妹、おおうしおがいた。


ん?ピンク…髪の…少女?

そういえば潮もピンク髪だった。

見慣れていたため、すっかり忘れていた…

ま、まぁ大丈夫だろ…ピンク髪の女の子はヤンデレというのは、ラノベ世界の話だ。

ここは現実だ。

うん、大丈夫なはず。

そもそも潮はだ。

家族を異性に見ることはないだろ。


「う、潮…これで扉を壊すの何回目だよ」

「そんなことより、お兄ちゃんの叫び声が下まで響いたの!静かにしてよね!」

「あ、ああ――」

「そういえば、なんて叫んでたの?」

「えっと………あ、そうそうゲームのガチャで爆死してね、それで暴言を叫んだだけだよ」


よかった。さっき何を声に出したかは聞き取れてなかったらしい。


「………あまり、課金しすぎないようにね!」

「わかってるよ」

「もう大きい声出さないでね!」


潮はそう言い、俺の部屋から出た。

扉は閉まらなくは無いが、鍵が壊れていた。

というか、鍵…付けてたよな、俺。

ま、いいか。鍵の修理は親に頼むか。


そうして一日が過ぎ、俺は学校に向かっていた。


「大智、今日転校生来るよな。男か女、どっちか当てようぜ」


隣から話してきたこいつは俺の友人だ。


「うん?転校生?今日転校生来るのか?」


え?初耳なんだが。


「はぁ?お前聞いてなかったのか?先週、先生が言ってただろ」

「あー、言ってたような…言ってないような」

「先生の話はちゃんと聞いとけよ?そんなんだと変な奴に追いかけられるぞ」

「関係なさすぎるだろ!」

「ははっ!」


そんな事を会話しているうちに、学校に着き、教室に向かった。

教室に入り支度をし、自分の席に座った。

そして少し時間が過ぎ、チャイムがなり、先生が教室に入ってきた。

そのまま、先生は黒板の前に立った。


「先週話てた通り、今日は新しいクラスメイトが来ている。…愛沢あいざわさん入ってきてくれ」


ガラガラと扉をスライドさせる音が鳴った。

そうして教室に入ってきたのは、キリッとし目付きで、ルビーのような紅い瞳を宿していて、端整な顔立ち、いわゆる女優顔負けである。

凄い完璧そうであるが、1つ問題があった。

この美少女の髪が――――ピンクなんだよ!

長いストレート髪でひらひらと窓からの風で靡かしている。

そんな事を思っていると、その美少女とやらは、みんなの前に立ち口を開いた。


「初めまして。私は、あいざわと言います。会話は得意ではありませんが、仲良くしてもらえると嬉しいです。よろしくお願いします」


愛沢深愛と名乗る少女は、そう丁寧に自己紹介をした。

そして、教室は拍手の音で溢れかえった。


「自己紹介が済んだな。それじゃあ、空いている席――一番後ろの端っこが空いているな。そこに座ってもらおうか」


先生が指した先は、俺から真反対の席だ。

まぁあんな美少女、俺なんかに目もくれないだろう。


そして愛沢深愛が来てから一週間が経った。

今日は休みの日。

ということで、俺は好きなラノベを買いに少し遠い所に向かおうと思っている。

そのラノベは購入者が多いためなのか、一定の場所にしか売っていない。

殘念ながら、その一定の場所は俺の家から遠い。

だから俺は駅を使って向かおうとしている。

今は駅のホーム、電車を待っている所だ。


ふと、俺は周りを見た。

今日はやけに人が居ないなと思った。

そんな事を考えていると、俺の視界に不審な男が映った。


(あの人、なんか動きが不審すぎないか?)


その男はキョロキョロとしていて、なにか機会を待っているかのような様子だった。

その男をじっと見ていると、その男は懐から、ギラついた鉄のような物を取り出した―――――――

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