冒険者ギルド 所沢
桜梨
冒険者ギルド登録 1
俺は、所沢市の航空公園駅にある、ハローワーク所沢に、やって来た。
本当に、目的の窓口は、この施設の中にあるのだろうか。
事前に確認して来たとは言え、なんだか不安になってきた。
だが、入口をくぐってすぐ目に付く案内図には、ハッキリと記してある。
「冒険者ギルド 窓口」
ああ、本当に有ったのだ。所沢の冒険者ギルド。
ホッとすると共に、これからの手続きを考えると、新たな緊張と不安が芽生えてくる。
案内図に従って進む。
待合室の奥に、窓口が見える。
「求人窓口」や「職業相談・職業紹介窓口」、「職業訓練窓口」など、通常のハローワーク業務を行うと思しき窓口に混じって、「冒険者ギルド総合窓口」というのが有った。あれだ。
待合室では、多くの人達が順番待ちしているが、少なくとも冒険者達には、見えない。ほぼ全員が普通に求職や職業相談、もしくは失業手当の給付等の目的で来所したのだろう(後で知ったが、ハローワークプラザ所沢では、雇用保険の受給手続きは行っていないそうだ)。
やれやれ。ゲームや漫画で目にするようなギルドの光景とは、偉く違うもんだ。
現実なんて、こんなものだろう。
呼び出し案内機のボタンを押して、出て来た番号札を手に、空いている席に腰を下ろした。
天井からぶら下がったモニターに表示された呼び出し番号を見ると、どうやらすぐに呼び出されそうだな。
それにしても、ハローワークの待合室って、ネガティブな空気が蔓延しているように感じられるのは、気のせいだろうか。どうも、自分が負け犬になった気分になってしまう。
少なくとも俺のように、大学卒業を目前にした若者には似合わない場所だな。
そんな事を考えているうちに、窓口から呼び出された。
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