粗茶柱『キブン』集
粗茶柱着物
村の浄火師
「サアッマークァリアー!!」
朝一番、1人の男の奇声と花火の爆発音が村に響く。
この村では月初めである1日に村の
下着姿の男が朝から大声を出して筒を抱えて花火を上げる姿は異様であるが、村人にとっては1年に1度の祭りと同じような感覚である。
驚くべきは花火を打ち上げる角度である。申し訳程度に角度はついているがほぼ真横。そして叫びながら回ったりするので四方八方に花火が飛ぶ。
村の家屋には花火が当たったとみられる焦げ跡がついているが村人は気にしない。
その焦げ跡は村人にとって家の悪しきものが浄化された証なのだから。
ある日、事故が起こった。
浄火師の男がいつものように花火を上げようと花火の保管庫に入るとその保管庫が大爆発を起こし、浄火師ごと保管庫を吹き飛ばした。
村人達の話によると浄火師の男は妻子がいるのにもかかわらず村の外から来た女と不倫をしようとしていたようだ。
それが神の怒りに触れたのだと村人は口をそろえて言った。
***
「サアッマークァリアー!!」
事故の翌月、浄火師の男の息子が跡を継ぎ今月もいつものように緑色の花火が村の四方八方に飛び散る。
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