三日目 ~感想~

「えっ?」


 私はついベッドの上で声を上げていた。


 前日との文字数の差、それにこの"滑り込みせーふ"という言葉。

 間違いない、この子、日付が変わる直前に起きたんだ。


 でも待って、二日目って―――


 私はページをめくって三日目の裏を確認した。


 ごはんを食べるって言ってるのが、夕方―――そうか、何時に寝たかとかは書いてないんだ。


 でも夜のそんな時間に起きるなんて―――もし、茜が普通の時間に寝てたとしたら。これは紛うことなき"過眠"だ。

 それにこんな時間に起きてしまったら、次の日の仕事に響かないわけがない。


 私は内容が分からない範囲で、日記をペラペラとめくった。


 やっぱり―――定期的に日記の文章力が極端に少ない日がある。

 こんな頻度で過眠になってたなんて―――私はあることに気が付いて顔を上げた。


 休日、あの子が電話に出ないなんてことはしょっちゅうだった。

 もしかしてあれって、毎回その時間まで寝てたってこと? 私、真っ昼間とかにも電話したことあったよね?


 なんだろう―――なんか、嫌な感じがする。別に電話に出なかったことが嫌なんじゃない。過眠という症状に、私が良い印象を持っていないというだけだ。


 過眠の原因、それは主に睡眠不足や食生活の乱れだったはず。

 

―――とにかく、昨日の晩ご飯はレトルトご飯でした。


 これを見る限り、既にあの子の食生活は狂ってる。

 そして過眠、食生活の乱れ―――このどちらもに該当する要因。私はこれに思い当たる節があった。


 多大なストレス―――私は一瞬目を細めて、すぐに頭を振った。


 でも―――そうだよね。この日記を書き始めたとき、あの子はしんどいって言ってたんだもん。まだ三日目だし、すぐにこの日記の効果が出る訳はないよね。


 これから―――改善していくんだよ、きっと。さっき見えた少ない文章量の日記も、まだしっかり読んでないわけだし、蓋を開けたら書くの忘れてたーってだけかもしれないじゃない。


 私は必死に自分を納得させて、隣のページに目を移した。

 

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