神々の箱庭(スーツ着た神様が世界のお仕事してきます)

カイシュウ

第1話 世界の管理者たち☆

”世界を作ったものは誰だろう?”


 そんな疑問を持つ人間はごまんといる。そうした疑問が宗教を生み出し、神という偶像を作り出す。ただ、最近の世界ではそんなことは嘘っぱちということが常識だ。


 しかし、人間の想像力はかなり的を得ている。神は存在しているのだ。世界を創造し管理する者であり、全知全能。


 そんな人間たちがあがめる神である俺──ゼウスは現在、達成感でみちあふれていた。


「フィニィィィィィシュ!!!!!」


 キーボードをタップし、ガッツポーズをする。現在、俺の姿はよれよれの服に、体調の悪そうな隈。


 感のいい神には徹夜明けだとわかる格好だ。さらに、周りはもう暗くなっていて、良い子は寝てる時間だろう。


 ──こんな職場にいつまでもいられるか、クソが!!


 心の中で愚痴を吐きながら、俺は流れるように支度を開始し、荷物を持つ。もう徹夜はこりごりだ、一生やりたくない。


 というわけで、俺はお役ごめ──


「おい!ゼウス!自分の仕事が終わったら次はこっちだ!でバグが起きてる!」


 すぅぅ、と軽くため息をはき、後ろに振り返る。そこには、ヤンキー風の金髪スーツ男が手を振っていた。


 ──軽く静寂が場を支配したが、それも一瞬だった


 俺は気持ちを凪のように落ち着かせ、満面の笑みを浮かべる。


「グッバイ、先輩。いい夜を!」


 俺は出口まで人生最速の速度で駆け抜ける。時間加速、浮遊、重力操作、etc...。自分が持つ最大の力を使って高速移動を発動した。


 ──よし!いける!!俺は今までためてた、ラブリー魔法少女を見るんだ!!


 わずか、0.01秒で俺は出口に近づき、俺は取手に手をかけた。

 ふっ、これが神の力よ!




「おいおい、先輩の俺から逃げられるわけねーだろ」


 ……なぜか自分は先輩に担がれていた


 周りをみると、世界の時が凍っていた……まじか時間停止を使って来やがった!?そんなに俺を帰したくないのか!!


「Hey、先輩!!俺をそんなに帰したくないんですか!?」

「当たり前だろ!」


 ──くっ、自分のタスクはもう終わってるのに。


 こうなったら、せめて高い飯をおごらせてやる!


「先輩!!なら俺に高級焼き肉奢ってください!バッカスのところですよ!!」

「無理に決まってるだろ!?仕事だぞ!!」


 ふん、そんなのは予想道理の答えだ!退社の恨み晴らさせてもらうぞ!


「ふーん、なら先輩の娘さんに泣きつきますよ!!」


 俺がそう言うと、先輩の顔はどんどん青ざめていった。いい気味だぜ!!


「ちょっ、それはずるいだろ。娘に嫌われたら生きていけないのに!!」

「じゃあ、奢ってください!!」


 先輩の娘とは結構な頻度で会っているため、娘大好きな先輩にはよく効くのだ。さすがに退社は認めてくれないだろうが、焼き肉ぐらいならいける。


「だー、もうわかったよ!!」


 先輩はしかめっ面をしながらもおごってくれると約束してくれた。なら、俺は速攻で仕事を終わらせるだけ!


「よっしゃー!なら俺、仕事頑張りますよ!オフィスに向かいましょう」

「はぁー、マジで厄介な後輩だぜ。わかった、さすがに時間停止しすぎるのも皆の迷惑だからな」


 先輩は手を叩き、また時間をもとにもどす。やっぱり、部長クラスになるとチーターしかいないのかよ……


「じゃあ、ワープするぞ。さすがに階段を100階上がるのはめんどくさい。」


 俺は先輩の手につかまり、光に包まれる。



 目を開けるとそこは見慣れたオフィスだった。地球にあるようなオフィスであり、他のメンツは死に物狂いで働いている。


 ──やっぱ、俺のいるって激務すぎじゃね?


 この課では主に世界の創造と管理を行っている局であり、自慢だがふつーの神では入れないエリートコースの一つである。もちろん、俺もエリートらしく神としての位階は高い。


「そーいえば、緊急そうでしたが大丈夫でしょうか?」

「ああ、いまは緊急システムで対処してる」


 ──なら、おれいらんくね?とは言わない


「でも、なんでこの中じゃ新人の俺が先輩の業務を手伝うんですか?」

「お前のためだよ、そろそろ上の統括者様がお前に一つの世界の創造を任せると思うからな」


 世界の創造


 それ課では一人前の証拠として渡されるプロジェクトだ。難易度はかなり高いが、ちゃんとやれば世紀末などは起きないとされるので比較的安全とされている。


 ただもし、これが本当なら俺は史上最年少の創造者になってしまう。


「んな訳ないでしょう。嘘じゃないんですか?実力も実績も足りてないですよ?」

「わからんが、そういわれたから助け船を出してるんだ、とりあえずこれを見ろ」


 先輩が俺にタブレットを見せてくる。そこには謎の黒い斑点が星にあった。 


 ──なんかめんどそうな案件だな……


「やっぱ焼き肉なしでいいんで、帰ってもいいですか?」

「俺の好意を無視するのか?ん?」


 せんぱいは無言の圧力をつかった!


 はぁっとため息をはき、タブレットを指さす。


「これ、何なんですか?」

「ああ、聞いて驚け!これはウイルスだ、世界を蝕むね!俺の補助だから危険はないぞ!」


 まじか~、確実で大変そうだ。徹夜確定だね☆!

 

 気分を明るくしたらなんとかなんないかなって思ったがどうにもなんなかった。 


 俺は神様に嫌われているの……って俺が神様だったわ。なら運命操作でいまからなぜか家に帰ることができたってことにならんかな?


『解、不可です。この空間での運命操作は許されていません。』


 えっ、統括者様!??なんで??普通は出てこないのに!?


 統括者様がでるってことはやんなきゃあかんのか……


 ていうか、テレパシーってこわ!これでも位階は高いのに(悲)


 う~ビール片手にアニメ見てー

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神々の箱庭(スーツ着た神様が世界のお仕事してきます) カイシュウ @key0717

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