第22話 彼が好き

それにしても、この女神ルシリスは一体何者なのだろうかと思ったのです。

見た目は美しい女性ではあるけど、どこか人間離れした雰囲気を纏っているような気がしたのです。

それからしばらくの間、雑談を交わした後、

突然真面目な表情になって話し始めたのです。

どうやら本題に入るようです。

一体どんな内容なのか気になりつつも、

固唾を飲んで見守っていると、いよいよその時が来たのです。

彼女が口にした言葉は意外なものでした。

それは、私に力を貸してほしいというものだったのです。

もちろん断ることもできたはずなのですが、何故か断ることができずに承諾してしまったのです。

どうしてこんなことになってしまったのかわからないまま、話は進んでいったのです。

最終的に決まった方針としては、一度元の世界に戻ってもらうというものでした。

ただし、その前にやってもらいたいことがあると言われ、

言われるままについていくことを選んだら、いつの間にか知らない場所に来ていたのです。

その場所というのが、今居るこの場所というわけだったのです。

辺り一面草原が広がっているだけの場所でしたが、不思議と懐かしさを感じる場所でもありました。

ここを訪れた理由はただ一つ、自分自身を見つめ直すためだったみたいです。

まぁ、何を言われているのかさっぱり理解できていないんですけど、

とにかく言われたとおりにするしかありません。

とりあえず言われた通りにしてみましょうか。

えっと、確か目を閉じて意識を集中しろって話でしたっけ?

よし、やってみようと思います!

まず最初にやるべきことは、イメージすることだと思います。

自分の中に眠っている力を感じ取り、それを解放するイメージを膨らませていく必要があるはずなのです。

具体的には、自分の内側に眠っているエネルギーを呼び覚ますような感覚でしょうか?

そうすることで、眠っていた力が目覚めるはずです。

ただし、やりすぎると暴走する可能性があるので注意が必要です。

そうならないためにも、最初は少しずつ行うことをおすすめします。

そうすれば、いずれは自在に操ることができるようになるでしょう。

では早速やってみましょうか。

まずは深呼吸をして落ち着きましょう。

それからゆっくりと目を閉じていきます。

そして次に、自分の内側に意識を集中させていきます。

自分の中心にあるエネルギーを意識しながら、それを徐々に外側へと向けていきます。

そうすることで、自分の持つ力が溢れ出すのを感じるはずです。

そして、それを外へ放出するイメージを頭に思い浮かべていきます。

すると、身体の中心から熱いものが込み上げてくる感覚が訪れました。

それを全身に行き渡らせるように意識を向けながら、更に強く念じていきます。

その瞬間、眩い光が辺りを包み込んだのです。

そして、私の意識は遠のいていきました。

次に気がついた時には、見知らぬ場所に立っていました。

そこは、先程までいた草原とは違って、石造りの建物が並んでいる町中でした。

周りを見渡してみると、どこかで見たことがあるような気がする場所でした。

もしかしてここは王都ではないでしょうか?

確か以前にも一度だけ来たことがあるはずです。

でも何故ここにいるのでしょうか?

理由はわかりませんが、とりあえず歩き回ってみることにしました。

しばらく歩いているうちに、ようやく記憶と一致する場所を見つけ出すことができました。

そこは、城下町の一角にある小さな公園でした。

ベンチに座って休憩していると、ふと視界の端に人影が映りました。

誰かがこちらに向かって歩いてきているようです。

近づいてくるにつれてその姿がはっきりとしてきました。

それは見覚えのある人物でした。

それは紛れもなくグレオスハルト様でした。

彼は私に気づくと、嬉しそうな表情を浮かべて駆け寄ってきました。

その顔を見た瞬間、私は思わず涙を流してしまいました。

それを見た彼は驚いた表情を浮かべていましたが、

すぐに優しい笑顔に戻ると、私のことを抱きしめてくれました。

その温もりを感じたことで、私は安心感を覚えました。

それと同時に、胸の奥底から何か熱いものが込み上げてくるのを感じたのです。

その正体は紛れもなく愛おしさでした。

彼のことを想うだけで、こんなにも幸せな気持ちになれるなんて思わなかったのです。

彼と出会えたことを心から感謝しています。

だからこそ、私は彼を守りたいと思いました。

彼を悲しませたり、苦しめたりしたくないのです。

そのためには何でもするつもりです。

たとえそれがどんなことであろうとも、決して後悔することはないでしょう。

なぜなら、それが私の生きる意味だからです。

この命に代えても彼を守り抜いてみせます。

たとえ何が起ころうとも、私は彼の側に居続けるつもりです。

「グレオスハルト様」

「リアンシューベレナ様、どうされたのですか?」

「グレオスハルト様、私はあなたのことが好きです」

突然の告白に驚いたようでしたけど、すぐに笑顔を見せてくれました。

そして、私を強く抱きしめてくれたのです。

その温もりを感じながら、私は幸せを噛み締めていました。

その瞬間、私の胸の中に温かい気持ちが広がっていったのです。

それは、今まで感じたことのないような幸せな感情でした。

その感情を表現する言葉が見つからなかったのですけど、

それでも十分に伝わっていると信じています。

私はグレオスハルト様のことが大好きです。

その気持ちに嘘偽りはありません。

いえ、むしろどんどん大きくなっているような気がします。

もう抑えきれないくらいになっています。

正直言って苦しいです。

胸が張り裂けそうな感じと言えばわかりやすいでしょうか?

そんな状態が続いているせいで、日常生活に支障が出るようになってしまいました。

このままではいけないと思っていてもなかなか解決方法が見つからないのです。

いっそのこと誰かに相談してみようかと思ったこともあったのですが、

内容が内容だけに躊躇してしまい結局誰にも話せずにいました。

そんなある日のことです、いつものように仕事を終わらせ部屋に戻ったときのこと、

机の上に見慣れない箱が置かれていることに気づきました。

何だろうと思いながら開けてみると中には一冊の小説が入っていました。

表紙を見ると可愛らしい絵が描かれているではありませんか!

題名のところに書いてある文字を読んでみると、どうやら恋愛小説のようでした。

しかも主人公の女の子が片想いをしているという内容のものらしく、

ドキドキするような展開が期待できそうでした。

さっそく読んでみようと思いページを開くと、最初の一行目から衝撃的な言葉が現れたのです。

なんと主人公がヒロインのことを好きになっていると言うのです。

その事実を知った時、私の心は大きく揺れ動きました。

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