悪役令嬢は複数のスキルと最強の称号の持ち主~しかし、イケメンには弱い彼女~

一ノ瀬 彩音

第1話 婚約者はイケメン

ある日、リアンシューベレナは街へ出かけることになった。

目的は新しい服を買いに行くためだ。

彼女は公爵家の令嬢であり、いつも豪華なドレスを着ている。

しかし、たまには普通の女の子らしい服を着てみたいと思っていたのだ。

街へ着くと、リアンシューベレナは色々なお店を見て回った。

そこで彼女は素敵な服を見つけた。

それは白いワンピースだった。

シンプルだけど可愛らしいデザインで、彼女にぴったりだと思った。

値段もそれほど高くない。

よし、これにしよう!

そう思った時、突然声をかけられた。

振り向くとそこにはグレオスハルトがいた。

彼はこの国の王子であり、リアンシューベレナの婚約者でもある人物だ。

彼は笑顔で言った。

「その服は君に似合うと思うよ」

そう言って手を差し出した。

私はその手を取った瞬間、彼の魅力に心を奪われたような気がした。

しかし、このイケメンに釣り合うような私ではないと思い直し、慌てて手を引っ込める。

グレオスハルトは私の態度に少し不満そうだったが、それでも私の手を取ったまま歩き始めた。

どうやら私をエスコートしてくれるようだ。

私は素直に従うことにした。

「ありがとうございます、殿下」

私が礼を言うと、グレオスハルトは微笑みながら言った。

「いや、気にしなくていいよ。君にはいつもお世話になっているからね」

私たちは近くのカフェに入った。

そこで私は自分が購入した洋服を見せることにした。

グレオスハルトはそれを受け取ると、丁寧に品定めをし始めた。

そして、こう言ったのだ。

彼は私の耳元で囁いた。

「よく似合っているよ」

その声はとても優しく、心地よかった。

私は思わず赤面してしまったが、なんとか平静を装って答えた。

「あ、ありがとうございます……」

その後、私達は楽しく会話しながらデートを楽しんだのだった。

「じゃあ、私はこれで失礼します」

グレオスハルトはそう言って去ろうとしたが、

何かを思い出したかのように足を止めると、私の方に向き直って言った。

彼の瞳は真っ直ぐ私を見つめている。

彼の熱量が伝わってくるようだった。

次の瞬間、彼は驚くべき言葉を口にした。

「リアンシューベレナ、私は君を愛している。どうか私の妻になってほしい」

突然の告白に、私は驚きを隠せなかった。

しかし、同時に嬉しさも感じていた。

彼の真剣な眼差しが私の心を射抜いたのだ。

私はしばらく沈黙していたが、やがて口を開いた。

「はい、喜んでお受けいたします」

その瞬間、彼は私を抱きしめた。

私もそれに応えるように抱き返したのだった。

「ありがとうございます、殿下」

私は感謝の言葉を口にした。

彼は少し照れた様子だったが、すぐに真面目な表情に戻った。

そして、こう続けた。

「君は本当に美しい人だ。君の美しさは永遠に輝き続けるだろう」

その言葉を聞いた瞬間、私の心は幸せに包まれたような気がした。

「殿下、そろそろ戻りましょう」

グレオスハルトは私の手を引いて歩き出した。

それから数日後、王宮で舞踏会が開かれた。

もちろん、グレオスハルトと一緒に参加するつもりだ。

会場に入ると、大勢の人々が私たちに注目していた。

無理もないことだ。

何せ、王国一の美男美女カップルと言われているのだから。

音楽に合わせてダンスを踊る私達。

周りの人々は皆、羨望の眼差しを向けていた。

中には嫉妬している者もいたようだが、そんなことは関係ない。

だって、今の私はとても幸せなのだから。

曲が終わると、今度は別の人と踊り始める。

その後も次々と相手を変えていった。

最後はグレオスハルトと踊っていたが、途中で休憩することになった。

グレオスハルトと二人でバルコニーに出ると、心地よい夜風が頬を撫でていくのを感じた。

月明かりに照らされた街並みを眺めながら、私は呟いた。

その時、後ろから声をかけられる。

振り返ると、そこにはグレオスハルトが立っていた。

彼は心配そうな表情を浮かべている。

どうしたのだろうと思っていると、彼が言った。

実は、最近悪夢を見るのだという。

内容は覚えていないらしいのだが、目が覚めるとひどく疲れているそうだ。

だから、今日は早めに帰ろうと思うと言われた。

確かに最近の彼は顔色が悪いように見える。

無理をさせるわけにはいかないと思い、私達は帰ることにした。

帰り際に、もう一度振り返って街の夜景を眺める。

「綺麗ですね」

私は自然とそう口にしていた。

その言葉に、グレオスハルトは微笑んだ後で、そっと手を握ってきた。

彼の温もりを感じながら、ゆっくりと帰路につく。

帰り道、二人でいろいろな話をした。

共通の趣味である読書の話や、好きな食べ物についてなど、

他愛もない話題ばかりだが、それが楽しかった。

気がつくと、もう屋敷の前だった。

名残惜しい気持ちを抱えつつ、お別れをする。

また今度一緒に出掛けようと約束して、それぞれ自室に戻ることになった。

(あぁ、楽しかったな)

私はベッドに寝転びながら余韻に浸っていた。

目を閉じれば、グレオスハルトの顔が浮かぶ。

そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠りに落ちていった。

翌朝、目覚めると体が軽くなっていた。

どうやらよく眠れたらしい。

昨夜の夢見も良かったし、体調も良くなった気がする。

きっと昨日のデートのおかげだろう。

そんなことを考えながら支度を済ませて部屋を出た。

そうすると、ちょうどグレオスハルトと鉢合わせする形になった。

彼は私を見ると、嬉しそうに微笑んだ。

そのまま食堂へ向かい、朝食を食べることにする。

メニューはいつも通りだったが、昨日までの憂鬱さはない。

むしろ気分は上々だった。

「今日のリアンシューベレナ様、なんかすごく元気だね」

という声が聞こえてくる。

それを聞いた使用人達も、嬉しそうな顔で笑っていた。

そんな光景を見ながら、ふと考える。

なぜあんな夢を見たのだろう?

どうしてあんなに不安になったのだろうか?

いや、考えても仕方ないか。

とりあえず今は目の前のことに集中しよう。

そう思いながら、私は食事を終えた。

私が食事が終えると彼から声をかけられるのです。

「リアンシューベレナには、複数のスキルと最強の称号があると噂を聞いたんだが、

本当のなのか?」

「えぇ、本当ですよ」

私は平然と答えました。

「それは凄いじゃないか!」

グレオスハルトは目を輝かせています。

彼は、興味津々といった様子で身を乗り出してきました。

「どんな能力なんだ!?」

興奮気味に尋ねてきます。

そんな彼の様子を見て苦笑しながらも、私は説明を始めます。

まずは、自分のステータス画面を開くところから始めましょうか。

そうすると、目の前に半透明のウィンドウが現れ、そこに様々な情報が表示されました。

名前や性別、年齢などの基本的な情報から始まり、

体力、魔力、攻撃力、防御力、敏捷性、精神力などが数値化されて表示される仕組みになっています。

さらに、称号欄もあり、その中には「転生者」というものがありました。

これは、前世での知識を活かして新しいものを生み出すことができる者に与えられるもので、

私の場合は魔法に関する知識を持っているため、それに関連した称号が与えられていました。

他にも、複数の魔法適性を持っていたり、魔法の才能があったりするのですが、

それらはまた別の機会に紹介できればと思います。

そして、最後に固有技能である【創造魔法】があります。

この魔法は、あらゆるものをイメージ通りに作り出すことができますので、

使い方次第では強力な武器になるでしょうが、今のところは使い道が思いついていません。

まあ、そのうち思いつくかもしれません。

一通りの説明を終えると、グレオスハルトは感心したように頷きました。

「なるほど、すごいものだね!

でも、それだけの能力があれば十分じゃないのかい?」

と彼は言いますが、私にはまだ足りないものがあると思っています。

それは戦闘力です。

いくら優れた才能があっても、

それを活かすための力がなければ意味がありませんから……。

「いいえ、まだまだ足りませんわ」

と言って首を横に振る私に、彼は不思議そうな顔をしていたけれど、

それ以上は何も聞いてきませんでした。

代わりに、別の質問をしてきたんです。

その質問というのが、私が持っているアイテムボックスについてでした。

グレオスハルト曰く、そのような能力を持つ者は珍しいそうです。

普通はせいぜい鞄程度の大きさのものが限界だそうで、

中に入れた物の時間経過が止まるわけでもないとか……。

ただ、私の場合だと容量が桁違いなのだそうです。

具体的には、馬車一台分くらいまでは余裕で入ります。

あとは、中に入れたものの温度管理などもできる優れものです。

しかも、時間の流れを止めることもできるんです。

試しに、彼に見せてあげることにしました。

そうすると、グレオスハルトは目を丸くして驚いていました。

それから、しきりに感心していましたけど、なぜか苦笑いをしています。

どうしたんだろうと思って聞いてみると、彼は言いました。

「いや、なんでもないんだ。気にしないでくれ」

と言って誤魔化そうとするのですが、明らかに様子がおかしいです。

私は気になって問い詰めましたけど、結局教えてもらえませんでした。

ただ、最後に一言だけこう言っていました。

「君は本当にすごい人だよ」

(うーん、気になるなぁ)

そんなことを考えつつも、それ以上は聞かないことにしました。

それからしばらく雑談した後で解散することになりましたが、去り際にグレオスハルトが言いました。

「リアンシューベレナのスキルや称号については秘密にしておくよ」

そう言ってくれたのです。

正直ありがたい申し出だったので、素直に感謝の言葉を伝えました。

そして、彼と別れた後に自室に戻りますと、早速ステータスの確認を行うことにしたのです。

まずは自分の能力を把握することから始めなければいけませんからね! ということで早速確認を始めましょう。

まず最初に確認したのは固有技能である【創造魔法】についてです。

これは、その名の通りに魔法を生み出すことができる能力であり、

例えば炎や水などの属性を自在に操ったり、物質そのものを作り出すことも可能です。

ただし、魔力の消費が激しいため、あまり多用はできないみたいです。

次に確認したのは称号欄にある【転生者】というものです。

これは私が前世での知識を持っていることを表すもので、

このスキルのおかげで様々な知識を得ることができました。

特に魔法に関する知識は豊富にありますので、これからの生活に役立つことでしょう。

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