魔物狩り2

「何故」

「何故、理由は知っている筈です。それに今の貴女では決闘の相手にもなりません」

「…………」


刀を仕舞う

人間の夢と戦う気は無い


「普通の魔物なら倒していいですが人型は避けてください。これは騎士、探索者含めてですので」

「分かった」

「物分りが良くて助かります。それに恐らく彼は異能に詳しい」

「成程……何故知って」


夢の言いたい事はすぐに分かる

だがそれは夜が隠している事に繋がる

隠している事を何故知っているのか、それを問う


「本当に何も覚えていないんですね。まぁ良いですよ覚えていても苦しいだけ、用は終わりました。私は帰ります。それではまた近いうちに」


夢は質問には答えずそう言い残して立ち去る

1人残った夜はここで考えても無駄と考えて魔物狩りに戻る

数体の魔物と戦闘になるが問題なく倒せる

それから暫く探すが見つからず帰宅する


翌日

夜は朝に出掛ける

魔物狩りをしに行く

探索者をチラホラ見かける

基本昼間などに探索者は活動する

夜中は暗く物や魔物が視認しづらい為、余り活動しない


「人型と接触したら戦闘はせずに撤退ってどういう事だ?」

「分かんね」

「どういう事なんだろう」

「そんな深い意味はないんじゃない? 強いから〜とか」

「そんな単純な話?」


騎士団が全騎士及び探索者に通達した

その結果騎士や探索者の間で色々な噂が立つ

どれも根も葉もない噂で騎士団は特に何も言っていない


「人型って配信に写ってた奴だよな?」

「それ以外にも居るらしい」

「強いのか?」

「かもしれないな。騎士団がわざわざ言うなんて珍しい」

「まぁ俺様が倒してやるよ。人型だろうが」

「流石兄貴、弱いかも知れませんしね」

「やっちまえ〜」


探索者達の話を盗み聞きしながら進む


「この先は危険ですよ。城壁付近には魔物は居ませんがこの先は魔物が居ます」


夢が立っていた

騎士の見回りと言うよりは待っていたように感じる


「知ってる」

「同行しても?」

「構わない」


夢が付いてくる

構わないと言ったが自分のペースで進む

1歩斜め後ろを歩いて付いてきている


「あの人型に傷を付けるとは凄いですね。あの刀捌き、異能騎士の先輩を思い出しましたよ」

「そう」

「えぇ、まぁあの人の異能は物体生成なので瞬間移動の異能の貴女とは別人ですよね」

「異能2つ有り得ない」

「そうなんですよね。それってどういう事なんでしょうね。身体が耐えきれないとか脳がダメになっちゃうとかですかね?」


夢は構って欲しそうに夜に話しかける


「知らない」

「つれませんね」

「話す言ってない」

「それはそうですが、あっ魔物ですよ」


前方に魔物を見つける

刀を抜いて突っ込む、異能は使わないで接近する


「援護します」


異能で氷を作り魔物に攻撃を仕掛ける

倒すのではなく削る目的で

魔物に氷が命中して体を抉る

動きが鈍る、動きが鈍った魔物に刀を振るい切り裂く

他の魔物が近付いてくる

刀で切ろうと刀を構えるとその瞬間に2本の氷柱が飛んできて魔物に突き刺さる


「強いですね」

「弱い」

「十分強いと思いますけど、あぁ昨日のあの魔物はかなり強いですから仕方ありませんよ」

「強くなる」

「それはいい事ですが無理はならさず、人類側の戦力は少ない。貴女クラスの実力者を失うのは非常に不味いので」

「英雄居る」

「英雄は強いですが無敵ではありません。だから騎士団があるんですが」

「忘れてる何?」

「忘れて……あぁ昨日の話ですか。思い出せないなら思い出せないままで良いですよ。ただ貴女の秘密は知っていますとだけ」


夜は記憶を探る

分からない所か思い出そうとすると頭痛がする

(分からない)


「まぁ些細な事で重要ではありません。あっ魔物の群れです」


5体の魔物の群れを見つける


「分担」

「では2体やります。氷の壁で分断します」

「分かった」


夢は地面に手を置き氷の壁を展開する

氷の壁で魔物を2体と3体に分ける

そして2体の方へ向かい魔物目掛けて氷塊を叩き込む

夜は3体の魔物と戦う

見覚えのある魔物で4等級の魔物、硬くない楽に倒せる魔物

2体からの攻撃を躱して奥に居る1体に狙いを定めて攻撃を仕掛ける

その魔物も攻撃をしてくる

攻撃をギリギリで躱して胴体を両断する

倒し切りすぐに振り返る

残った2体の魔物が接近して攻撃を仕掛けてくる

異能を使い魔物の背後に瞬間移動をして無防備な背中を切り裂く

続けて最後の1体も体勢を直す前に切り裂いて仕留める

倒し切ったタイミングで氷の壁が崩れて消える


「おぉ、もう倒したんですね。流石4等級の魔物を余裕で倒すとは」


夢は拍手する

夢側の魔物は既に消滅して魔石だけが残っていた

つまり夜よりも早く2体を倒し切っていたという事


「時間かかった」

「まぁ普通は時間かかりますよ。私の異能は属性系の攻撃異能、範囲攻撃出来るので魔物狩りの時便利なんですよね」

「属性系異能」

「属性系の中では氷は結構珍しいらしいんですよ。まぁその珍しさのせいで私の異能が氷系の異能の中でどのくらいの強さなのか分からないんですよね」


属性系の異能は異能の強さが直接戦闘力に影響される

強力な異能ほど殲滅力が高くなる

夢の異能は特に名前の通り広範囲攻撃、殲滅力に長けている


「強い確実」

「ですかね? 珍しいとは言いましたが氷系よりも空間移動系の方が圧倒的に珍しいですけどね。都市の中には騎士団長と貴女くらい? そもそも日本に2人も居るなんて凄いってくらいですが」

「偶然」

「まぁそうですね。空間移動は単純に便利だと思うんですが普段使いはしないんですか? 制限あるならあれですが」


条件で制限されている訳でも無ければ瞬間移動は出来る

夜の異能による瞬間移動は場所の制限は無い


「見つかる面倒」

「あぁ……」


空間移動は珍しい

一般人に目撃されれば写真を撮られたり囲まれる恐れがある

何せ確認されている限りでは世界中に数人しかいない異能の種類なのだ


「それは普段使いできませんね」


夢は納得する

魔物を探して進む

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