ちょっと怖い話「見えない毒針」

轟 朝陽

第1話

 僕の通っていた小学校は山の中腹にあり、校舎の前方に見える山は僕たちの遊び場と化していた。

 その日の授業が終わり、友達と数人で山の中の探索に出発した。

 田舎の山なので、そこかしこに動物の通った形跡が見られた。

 そんななか、急斜面の土の中に何やら埋もれているものを友達が見つけた。

 何か埋まっているようだが、枯葉などが被さりハッキリとは見えなかった。

 しばらく見ていると、友達の一人が埋まってる物を取り出そうと木の枝を土の中に突き立て始めた。

 その数秒後・・・







「いてっ!いててて!」

 突然、僕は首筋と目元に激痛を感じた。

 僕は急斜面を転がり落ちそうな勢いでその場を離れた。

 なんの前触れもなく突然の激痛に恐怖を覚えた。

 僕以外には誰一人として同じ状況に陥った友達はいなかった。

 何事が起きたのか分からないまま僕たちはその場を後にした。







 山を降りてから友達に激痛を感じた首筋を見てもらうと、そこには小さな針が刺さっていた。

 激痛の正体は蜂に刺されたことが原因だった。

 ではなぜ僕だけ蜂から刺されることになったのか。

 あの時、土の中に埋もれた物を見ようと僕は斜面の下側に立っていた。

 友達は斜面の上から木の枝を突き立てていたのだが、僕が立っている位置が蜂の巣の正面になっていたのだろう。

 巣を攻撃された蜂は、正面に立っていた僕を攻撃者と認識し、毒針により攻撃してきたのだ。

 何もしていないのに、とんだとばっちりを受けることになった。

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ちょっと怖い話「見えない毒針」 轟 朝陽 @oasi-ikawodak

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