第10話 それぞれの花束


アイツ。

つまり天水愛花と一緒に買い物に行く事になった...のだが。

俺はその事に心臓がバクバクする。

かなり痛いぐらいに。


ったく。

美少女がそんな事を言ったら誤解する。

思いながら俺は帰って行った天水がこの場所に確かに居たのを感じながら勉強をする。

それから俺は伸びをした。

そろそろ寝るか。夜も更けてきたしな。


そう考えながら俺は寝る事にした。

そして翌朝。

インターフォンが鳴る音がした。

俺は目をゆっくり開けてから「何だ?」と呟きながらドアをゆっくり開ける。

何故か天水が居た。

うん?


「天水?朝早くからどうした」

「あ、はい。おはようございます。すいません。...実はお弁当を作りましたので」

「?!...は?」

「お昼飯用です。作りました」

「そうなのか!?何で?!」


俺は唖然としながら天水を見る。

天水はその様子を見ながらそっけなくだが「何でも良いでしょう」と答えた。

だがその頬が若干赤くなっていた。

俺は「?」を浮かべながら天水を見る。


「横田くんはろくな物を食べてない様です。死んでもらっても困りますのでお弁当作ったんです」

「マジか...お前に弁当を作ってもらえるとはな」

「勘違いしないで下さいね。貴方が死んでは困るという話です」


「だがそれは心配って言うんじゃないか?」と聞いた。

すると天水は「違います」と断固として否定しながら俺に眉を顰める。

俺はそんな天水の姿を見て苦笑い。

それから「まあそれからそれでも良いけど。俺は嬉しいよ。お前がそう作ってくれるのが」と話した。

天水は「...そんな気は無いですから」と呟いた気がしたが聞こえない。


「天水?何か言ったか?」

「...何も言ってないです」

「そうか?」

「女子に追う様に言葉を発するのは禁句ですよ」


そう言いながら厳しい顔をする天水を見る。

俺は苦笑いで「分かった分かった」と返事をしながらお弁当を受け取る。

それから「天水」と声を掛けた。


「何でしょうか」

「もう行くのか」

「私は掃除当番などがあります。それから忙しいです」

「...そうか。分かった」


それから天水は去って行く。

その背中がやけに嬉しそうに見えたのは気のせいか?

俺は考えながら天水の背中を見る。

そしてそのまま行ってしまったので俺はそのままドアを閉めた。

何というか俺も学校に行く準備しなくては。


「...」


しかし天水の奴は何故いきなりお弁当を?

そう考えながら俺はお弁当を見る。

だが答えは出ないまま登校時間を迎え。

俺はそのまま学校に登校...していると渋谷が声を掛けてきた。


「おはよん。親友ちゃん」

「ああ。おはよう。どうしたんだ」

「うん。今日、愛花がお弁当持って来たでしょう?あれ私の指示もある自信作なんだ」


歩き始める俺達。

俺はそんな渋谷の言葉に驚く。

「マジか?」と聞いた。

渋谷は「だよん」とウインクする。


「でもアイツ料理出来るんだろ?」

「出来るけどお弁当作作るのはわたしのサポートがいるよん。だから珍しいなって」

「...そうなんだな」

「うん。それに先ず人の為に作るとか最早、私にとっては心底あり得ない事態だから。凄いと思うし革命的だね。天変地異が起きるかも」

「...そこまでか」


「何が彼女をそうさせたのかは分からない。だけど彼女がそうしたいって言った。だから私は協力したいね。最後まで」

「...」

「でもそっかそっか。愛花にも恋人が出来たんだねぇ」

「俺と天水がそんな関係に見えるか?甘いって。俺はそもそもパートナーとしか見てないぞ」

「ぱ、ぱ、パートナー!?きゃー」


知っている癖に何だこの反応は。

思いながら俺は渋谷をジト目で見る。

渋谷は「という冗談はさておき」とあっという間に切り替えた。

俺はその姿に苦笑いをまた浮かべる。


「...愛花のあの嬉しそうな姿。私まで嬉しくなるよ」

「...お前も作ったら良いじゃないか。愛しい人にな」

「愛しい人だけど私には...」


そう話していると渋谷の最後に人が来た。

それは坂本だった。

「愛しい人?それって俺か?」と冗談混じりに話す。

だが渋谷は「あ、う」とそれどころじゃ無い様に見えた。


「?...お?どうした?マリン」

「ば、ば、バカァ!」

「待て!?暴力はんた...グハァ!」


坂本は優しくだろうけどビンタを受けた。

それから渋谷はプンスカと去って行く。

俺は目をぱちくりしながらその光景を見る。

坂本は「いや待て。何故俺はビンタされた?」と考えながら聞いてくる。

俺は「女子には秘密が多いんだよ。さっき教わったけどな」と坂本の手を握って立ち上がらせた。


「意味が分からん。答えかそれは」

「つまりお前が鈍感って事だ。裏を返せばな。=とも言えるかもだが」

「うーむ。マジか。女子はよく分からんのう...」


そして俺達はチャイムが鳴り響き。

慌てて高校に向かう。

遅刻だわ完全に。

まあ面白いもんが見れたが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る