新・彼女が寝取られたので女性を嫌いになったのですが
アキノリ@pokkey11.1
一章 大雨に咲く大輪の華
壊れた少年
第1話 天に晴れる
そもそも俺、横田春樹(よこたはるき)は確かに美男子ではないと思う。
自分でもそれは思う。
だけどそれでも不細工でも無いと思っている。
まあそれが理由で振られたわけでは無さそうだ。
まさか俺の彼女が俺の親友と浮気するとは思ってもおらず。
絶望だらけだった。
「やれやれだ。全く」
そんな事を呟きながら肩を竦めての小テストもそこそこの点数の6月12日。
俺は梅雨の真っただ中のクソみたいな天気のクソみたいな考えしか浮かばない日。
浮気している姿を見ての翌日。
帰宅しようと思い学校から出ようとした時だった。
クラスの他の人と喋った事を見た事が無い猛烈なクラスメイトの美少女。
無口女、天水愛花(あまみずあいか)が空を見て戸惑って困惑している姿を見た。
豪雨の中だった。
まるで金髪に近い髪の毛。
そして...顔立ちは超滅茶苦茶な美少女。
腰まで長髪である。
何というか彼女は男子100人に告白されてその全ての恋心をぶった切って捨てたという...恐ろしい記録の持ち主だ。
「そういう系は今は良いんで」と冷徹な眼差しで言いながらだ。
正直、愛想が無いので放って置いても問題では無いと思ったのだが。
俺は「ったく」と呟きながら天水に声を掛けた。
何というか誰にも懐かない。
氷の女王とされている。
「何ですか」
「...いや。お前豪雨で帰れないんだろ。...ほれ」
「?」
眉を顰めて警戒する天水。
俺はその姿に溜息を盛大に吐きながら傘を差し出す。
そして「これで帰れ。...ああこの傘やるから」と言いながら天水に押し付けてから目をパチクリする天水を置いて駆け出した。
やれやれ。
善意もクソも無い世界だけど困った人を置いておけないと思う俺は頭がおかしいよなって思うが。
☆
雨の中帰ったから結構濡れた。
俺は寒気を感じながら直ぐに風呂に入ってから乾かす。
1人暮らしだ。
その理由としては親がギャンブル依存症の為。
というか正確には父親がギャンブル依存症だった。
母親は病んでしまってそのまま家を出た。
その際に我慢できなくて俺も家を出たのだが。
それで今に至っている。
金銭は俺の叔母さん、母親から貰っている。
その為、何とか働かずに今に至っているが...いつかは恩返ししないといけない。
そう思いながら俺はせこせこと高校に通っている。
馬鹿だから奨学金が受けれなかった。
その点はマジに反省点だ。
「...何をしているんだろうな俺」
そんな事を呟きながら写真立てをぶち割った。
彼女だった須崎シノン(すざきしのん)との記憶と。
親友の伊藤信孝(いとうのぶたか)との記憶を捨てる為に。
そして俺は頭を掻きむしる。
クソがクソがクソが。
「何であんな女と」
そう呟きながら俺は写真立てとガラスの破片を拾った。
それから俺は叩きつける様にそれらをごみ袋にそのまま捨てる。
そして俺は盛大に溜息を吐いた。
「全くな」
そんな感じで俺は頭を掻く。
それから作業をしているとインターフォンが鳴った。
新聞はお断りって書いてあるのが見えないのか畜生め。
何かを注文した覚えもない。
「はいはい。新聞はお断り...って、え?」
「...えっと。ここは横田くんの家ですよね?」
「待て。何でお前この場所に?」
「私はこの下の階に住んでいます。スーパーの帰りにお見かけしました」
「...え?」
「傘をお返しに来ました」と私服姿の天水はさっきくれてやった筈の傘を取り出してから俺を見てくる。
俺は「そんなボロ傘なんてどっかに使って捨てれば良かったのに」と驚く。
すると天水は「そんな訳にはいきません」と怒った。
「...借りたものは返す。これは人間の礼儀です」
「...そうか。そういう事なら有難うな」
「此方こそ有難う御座いました。それで何かお礼がしたいのですが」
「お礼?...いや。良いよ。つまらない物を無理矢理貸したのは俺だしな」
「でも助かりました。だからお礼がしたいです」
天水は真剣な顔で俺を見る。
お礼ねぇ。
しかし男子にお礼と言う台詞はマズい気がするがまあそれは置いて...とは言っても...何をお礼してもらう?
ちょっと良く分からない。
そう思って俺は天水を見る。
複雑な感情の今じゃ無理だわ。
「...すまない。今ちょっと別の事でイライラしていてな。今は何も思い付かないんだ。配慮は本当に有難いけど」
「そうなんですか?じゃあその。お夕食作ってあげましょうか?」
「は?いや...しかし手間じゃ」
「これはお礼ですから」
そしてその日から俺は天水愛花という少女と知り合う。
何というかまあ...これは。
そんな天水との。
山あり谷ありの話だ。
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