プレイ・フラグメンツ

名桜

Prologue

新生

夢想国家ラグナロク。

「フリティラリアの災禍」でラグナロクは一度滅びた。

ありとあらゆる生物が何重にも連なった呪いを身に受け、身体を腐らせ、精神を侵され死に絶えた。

生き残ったのは約300人、当時の人口の0.000003%であった。

ある少女を中心に、7年の時をかけて現在のラグナロクは成り立った。

ラグナロク新生の中心となった少女を国民は「プリエーニク」と呼び称えたのであった。

少女は国家元首となり、現在のラグナロクを統治することとなった。


少女は知っていた。

フリティラリアの災禍が何故起きたのか。

少女は誓った。

二度と災厄で命を失わせないと。

そうして、この国は生まれた。


「メア・クロード計画」により、ラグナロクには死という概念を失った。

人間は勿論、犬や猫などの愛玩動物、豚や鶏などの家畜、さらには植物も老いも病みもしなくなったのである。

この国に生まれた生物のDNAをデータ化し、肉体の代わりにホログラフで構築する。

これにより、全ての生物は永遠を生きることとなった。

生活は理性により厳格に律せられ、質素で画一的。

欲に塗れた行為や建築物は徹底的に排除され、人は労働や食事、睡眠の時刻などを厳密に守り、余った時間は科学や芸術の発展のために使われる。

生命に分別はなく皆平等に扱われ、悪しきものはすぐに潰えるため差別も犯罪も起きない。


ラグナロクを諸国はこう評した。

――理想社会ユートピアと。

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