第2話 クラスでの生活
「おいーす」
「おー、今日は遅刻しなかったな」
俺はドアを開けて挨拶をする。するとかなりなイケメンの男、
「まぁな、遅刻はしなかったけどアイアンクローで頭を潰されかけた」
「それは…どういう状況だ?」
「実は、かくかくしかじかで」
そして俺は祐介に朝起きたことを説明した。祐介は最初は首を傾げていたが話を聞いていく内に何か納得したようだった。
「うん、お前が悪い」
「そんな!?」
「だって、人がわざわざ起こしに来てくれても、遅刻するのを覚悟でまだ寝ようとしてるんだから悪いだろ」
「……」
ぐうの音も出ない正論に俺は黙るしかなかった。反論の余地が見つからねーぜ!
「はあ、あいつと俺は一体何が違うってんだ」
「顔、性格、頭の良さ、普段の生活態度」
「オーケー、祐介くん。そこら辺でストップしようか」
俺は怒涛の言葉の暴力にメンタルをゴリゴリと削られていく。何でそんなにスラスラと出てくるんだ?
確かに彩音は身長は俺と同じくらい。髪は肩にかからない程度の長さのサラサラの白髪で雰囲気は外国の王子様みたいで顔も中性的だ。
「うーん」
けれど出るところはしっかり出て、お腹周りはすらっとしている。頭も性格も良い。普段の生活もしっかりして俺の面倒まで見てくれている。
確かにモテると言われればモテる要素はたくさん詰まっている。けれどあいつがモテているのは主に女子だ。女子が女子にモテている状態だ。
「……」
対して俺は?身長は同じくらい、体はある程度は鍛えている。髪は黒髪で少しだけ癖っ毛だ。頭はそんなに良くない。性格は…良いけど馬鹿っぽいと言われている。
普段の生活は世話を焼かれている始末だ。仮に俺がモテるためにはそこら辺を見直さないといけないのか。
つまり・・・
「彩音と同じになれば俺も女子にモテるのか?」
「おい待て、何がどうなってその結論に至ったんだ?」
まず、髪をサラサラにして白く染めて、勉強をして、毎朝しっかり早起きを…あ、駄目だ、絶対に無理。
俺は勉強と早起きのダブルコンボで早々に諦めた。
「カズヤ、早まるな。お前は王子と同じにはなれん。仮になってもお前はモテない」
「なんてことを言うんだ!!」
俺は早々に諦めた後の祐介の容赦のない言葉に悲しくなった。俺の友達はこんな奴らばっかりだ。まったく!
「おはよう」
「お、ちょうど噂をすれば来たぞ」
祐介が言ったように彩音がクラスに入ってきた。いつもあんなに囲まれて、モテるのも度がすぎたらあんなのになるのか。やばいな。
「ういー、おはよう彩音」
「カズヤは朝から一緒にいたでしょ。おはよう、祐介くん」
「おはよう。宮野さん。朝から大変だったね」
「そうだね、女の子たちに囲まれるのは大分慣れたけど、カズヤを起こすのがね」
「……なんかごめん」
彩音がじとーっとした目で俺を見てくる。ごめんって、でも布団が俺を離してくれなかったんだよ。俺はいたたまれない気持ちになった。
「さ、さて、もう少しで授業が始まるな!今日小テストがあるんだぜ!祐介はちゃんと勉強したか?」
「当たり前だろ、ちゃんと勉強してきてるぞ」
「…俺も今からやれば間に合うかな?」
「いや、小テストは1限目だろ?」
「よし、諦めるか」
俺は1限目だということを聞いて諦めた。人間は時には諦めも大事である。
「はぁ、まったくカズヤは」
「お前、こういう時の諦めは早いよな」
本日3回目のため息をつく彩音と呆れた顔をしてる祐介、まぁなるようになるだろう。俺は1限目が始まるその時まで諦めの境地で笑っていた。
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