第24話 怪人と不審者。果たしてどちらが強いかな?
診療所の2階にいたラブクープは暇を持て余し、ふと窓に目を向ける。
「…ツミ?まさかバカが!」
ツミの姿が目を飛び込んできた。
ラブクープは空いている職員達を伴って慌ててツミを出迎える準備をする。
「ただいま戻りましたわ。」
「ん?そのお方達はどなた?」
ラブクープはツミしか目に入っていなかったらしい。一緒にいた人と付喪神達に今更気づく。
「このお方達は付喪神と生活を共にされていますの。」
「いや、キンセツとは暮らしてると言う程では無くて……コホン。遅れました。鍛治職人をやらせてもらっています。タキガワという物です。」
「ボクはチェンジャー。まぁ生活といっても宿無し生活だけどねー。この人欲しかったんでしょー?」
他の付喪神も職員達とラブクープに軽く挨拶を交わす。
ラブクープは客間にチェンジャー達を招き、ツミや彼らの言い分を元に情報整理を始める。
「チェンジャーさんはまず、バカと行動を共にされていらっしゃったのですね?」
応えたのはクランボとナギだった。
「えぇ。その中で彼はチェンジャー様の身体と衣服の衛生状態を改善して頂いたのです。心より感謝申し上げます。」
ラブクープはチェンジャーに目をやる。確かに人肌とは思えない肌に輝いている。
「確かにいつ病気なってもおかしい位汚れてたもんね。ありがとうございます!」
「そんな事が…いえこちらこそ。」
クランボ達は感謝の意を述べる。
「そして彼がなんやかんやあり勝手に倒れたのです。」
「でその現場にツミが鉢合わせに。」
「理由は分かりませんがどうせバカなことしでかしたのでしょう。人様の前ではしたない!」
ツミは憤慨しながら語る。
「確かにそうですわね…でバカをチェンジャーさんが運んでいたと!ご迷惑をお掛けしましたわ!」
「意外と軽かったよー。」
ラブクープの問いにチェンジャーはズレた回答を繰り出したが一応正解のようだ。
「で、運んでいる途中にタキガワさんに」
彼女は視線をタキガワに向ける。
「そうですね。付喪神と話しているのを見てキンノミヤ様とユーザさんに関係があると思いまして。………実際は違いましたが。」
「ユーザさんを知ってらっしゃって?今何をしてるのかしら?」
彼女が何気なく聞いてみたらタキガワの表情に暗雲が立ち込み始める。
「ユーザさんは今付喪神に関する仕事をしていまして、その仕事の最中にバブルの爆発事故に巻き込まれてしまって……。」
タキガワの発言に一同が驚愕する。
「あの一ヶ月半前の?何故ユーザさんはそこにいらしたのかしら?」
「確かあの事故の負傷者は市の職員しかいなかったはずでは?」
「分かりません。でもあの事故の日から一切の連絡が取れなくなってしまって。」
「ウソだろぉー!?!!?」
バカ医者がついに目を覚ました。
「なら私が治療してやる!」
バカ医者はまた出ていこうとしたが
「やめときなよー。今行ってどうするのさー?」
チェンジャーが袖を引っ張って止める。
「もう死んだでしょ。仕方ないよー。」
子供を諭すような表情で呼びかける。それに対しバカ医者は目を赤くして怒鳴る。
「ハア!医療の力を舐めるな!それにお前はユーザのこと何も分かっちゃいない!奴はなぁ怪人倒せるんだぞ!」
「え?それは初耳。」
それを聞いた途端、チェンジャーは目を丸くした。そして瞳孔の奥がギラギラと揺れ始める。
「ごめん。やっぱキミの医療の力ってのを信じてみるよ。怪人を倒せるようなヤツを死なせるなんて勿体無いじゃない。」
「そーだそーだ!だから私もクーポンは絶対使い切るぞもったいないから!」
チェンジャーのユーザへの好奇心が再燃し始めた。
「ちょっと何を言い出しますの?!」
チェンジャーの気持ちの変わりようにラブクープ達は困惑するしかない
「ラブクープさん。ツミさん。コイツ借りるよー。所で医者さん名前は?」
「ふふふ。聞いて驚くなよ……デットだ。実は第6話でちょびっとだけ出てきた。」
「第6話って何ー?」
「もー!あなたという方は起きて早々バカな事ばかり!チェンジャー様だけには任せられません!ツミが頑張ってくれたのです。私もお供させていただきますわ。」
「いいよー。それじゃあナギ、クランボ。バブルに行っちゃおー!」
「やるしか無いねこうなったら。」
「仕方ありませんね。逸れていたら正すのが我々の役目ですから。」
苦笑いを交わしながらナギとクランボは新たな歩みという名の戦いは赴く。
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