第22話 もうやだこのめんどくせぇ世界
「マジで何でベル?何あのクソ神サイクリング趣味なの?なら自分の趣味押し付けるなっつーの!」
自転車のベルは癇癪を起こしていた。
「あ〜あ俺もステータスオープンとか言いたかった!ハーレム築いてスローライフしたかった!もーなんでぇこーなるの〜!」
彼の言葉でカミカミ男の脳内には超世界が繰り広げらていた。
(ヤツ転生とか言ってたな、オレも転生者だ。でもクソ神とか言ってやがる!どういう事だ!?オレはなんの前触れもなくこの世界に放り出された。そもそも神の事を悪く言うヤツは許せん!多分アイツも前の世界にいた、紙に印刷やお絵描きなどと言う愚の骨頂とも言うべき不敬を働く闇の戦士のシンパだ、問い詰めてやろうふざけるな!)
転生者同士のイザコザが始まろうとしている中
一方チェンジャーは
「グゥッ!」
「ハサミは武器じゃないはずのになー?」
自分に向かってきたキンセツを掴み取り、握りしめていた。
バカ医者はその場で落とされたがまだ目覚めなかった。
「キミが何したいのか知らないけど来たからには相応の態度があると思うからさー。」
「ギャァ!」
チェンジャーはキンセツを握る手に力を込め始める。やがてキンセツからミシミシと音が鳴り始める。
「それに…」
そして何を思ったかバックパックから剣を取り出しタキガワに刃を向け始める。
「キミは持ち主でしょ?だからさぁー。」
剣を構えながら真っ直ぐタキガワを見据えるその表情に偽りは無かった。
対してタキガワは
「…そういう人なんですね、ならば」
懐から隠し刃を取り出す。
チェンジャーとタキガワは落ち着きながらもギラついた目で相手を見据える。チェンジャーが先に刃を振り下ろす。が
「チェンジャー様、ハサミば武器ではありません。ですからこの勝負。直ちに取りやめていただきたい。」
「!?」
クランボが自らの肉体でチェンジャーの攻撃を遮ったのだ。
それを聞いてチェンジャーは目を見張る。
「チェンジャー様にはこれ以上、無益な殺傷は謹んでいただきたい訳です。それが
それを聞きチェンジャーは口をポカンと開き何かを思い出したかの様な口調で
「そう。じゃあ辞めにしよう。これ返すよー。」
何事も無かったかのように彼は剣を片付けキンセツを返す。
チェンジャー以外は誰も会話の意味を理解できなかった。
「は?はぁ……」
拍子抜けした表情でタキガワはキンセツを受け取る。
「じゃあ診療所を目指そうー!」
「いやなんの時間だったんですか今の!?あぁーキンセツ!そもそも何でこんな事したんだ!」
タキガワは訳が分からないままキンセツに説明を求めた。
するとキンセツは
「あんな綺麗で長い髪、切る以外いないでしょ?見た途端興奮しちゃったよ。失敬失敬。」
彼の口調はやや興奮気味だったが前のキンセツにあった暑苦しい雰囲気は取れていた。むしろどこかおちゃらけた雰囲気になっていた。
一同は首を傾げる。ツミ以外は。
「いやそういう事を聞いてるんでは無くてだな…」
「確かにそう思いますわ!」
「だよねだよね!」
「はえ?」
「えぇ!チェンジャーさんは少し思考が読み取れない所が怖いですが、あの顔と髪は間違いなく光る原石ですわ。」
「うんうん。藤色っていう独特な髪色に負けてないんだよな顔が。」
その後キンセツとツミはチェンジャー改造計画談義に花を咲かせ始める。
当の本人は
「どっどういう事ー?」
「まっ…まぁ髪は切った方がいいとオイラは思うよ。そんな長いと前も見にくいだろうし。」
「確かに、チェンジャー様の髪が不必要に長いのは否定できません。まあここは従えばいいでしょう。」
「わかったー。」
チェンジャー達は一応否定はしないが肯定もしない様子でことの成り行きを見守っていた。
(なっ何で貴方達が見てんの?)
因みにバカ医者は未だに目を覚まさなかった。
「とにかくどうするかは中に入って決めますわよキンセツさん。」
「あぁ、OK!」
タキガワはもう着いて行けなかった。その場立ち尽くす事しか出来なかった。
(ユーザさん、キンノミヤ様、助けて!)
その頃天生コンビは
「あぁーなるほどね?……つまり紙を神様だと思ってたら天罰がくだって転生したと。」
(あぁーなるほどねコイツ完全に頭イッチャッテル系ね。関わっちゃいけない系の奴なのね。なんでよりによってこんなのと絡んじゃったの不幸レベル高過ぎねオレ?)
「ほほぅ。うだつの上がらないブラック企業勤めで満身創痍な状態で帰路に着いていたらトラックに跳ねられて転生したと。」
(会社員だと!やはり神に仇なす闇のシンパではないかベルになっていなければ殺していたぞ。)
「てかアンタそのタイヤ痕何?轢かれたの?」
「あぁ、神を紙という事を理解できないこの世界の住人にクロスバイクでやられたんだ。絶対許さん、今度会ったら神の裁きを与えねばならん。」
「そっそう」
(え?クロスバイクとかある世界観?てか引かれてんのになんでピンピンしてんの?やっぱ異常者だ。こいつ)
「あぁイライラして来た。あの野郎を、ぶっ殺して堪らなくなってきた。おいベル!行くぞ。聖戦の時だ。」
(は?イチャモンの間違いだろ?)
訳のわからない因縁を付けられたユーザ。むしろ起きてこない方がいっそ幸せかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます