第10話 カシマ様

「ミキオ、カシマ様っていう神様知ってる?」

突然マサユキに訊かれたので、僕は答えた。

「何それ?聞いたことないわ」


「知らんのかいな。これ結構、有名な話やで」

「そうなん?けど聞いたことないで」


「ほなら、話したるわ。ある日、夢の中にカシマ様が出てきはってな」

ふんふん。


「『足いらんか?手えいらんか?』って訊きはんねん」

「それで?」


「『いりません』って答えたらな、次の日に、足とか手えとかがなくなってんねん」

――しょうもな。怪談話かいな。

僕は思った。


「ほんでな。『いります』って答えたら、次の日、足とか手えとか生えとんねん」

「それで何なん?」


「怖いやろ」

「ほんまやったらな」


「ほんで、ミキオ。お前、昨日の夜、カシマ様の夢見たん?」

「何で?」

「頭から、手え生えとんで」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る