第5話 シール

ある日道を歩いていると、突然右手の甲を叩かれた。

小学校低学年くらいの子供が横を走り抜けて行く。


手を見ると『予』と書かれたシールが貼られている。

――あの子がいたずらで貼ったのかな?


シールはいくら剥がそうとしても剥がれなかった。

お風呂で擦っても駄目だった。


諦めて私は眠った。

よく朝起きると、右腕がなくなっていた。


痛みはまるで感じなかったが、とても怖かった。

とにかく医者に診せようと、家を出た。


すると家の前に子供が俯いた姿勢で立っていた。

昨日シールを貼った子だ。


その子は俯いたまま、右手で紙を差し出した。

その腕は、体に不釣り合いな程長かった。


差し出された紙を見ると、『領収書』と書かれていた。

――ああ、昨日のシールは『予約票』だったのか。

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