第35話 混浴温泉と晩餐
~第34話までのあらすじ~
自然石の場所へ到着した響一行は、手順1「入れ替わりの
響一行は、とある混浴温泉に来ていた。
そしてもう一つ、特記すべき重要なことがある。それは...
「響くん、さっきぶりですね!」
あいりがいることである。
「りりーちゃん、はじめての
「ま、まあまあね。帰りも乗せてって」
茶緒とリリーもいる。
響たちが話し合った結果、温泉でリリーたちと集合し、その流れでバグ調査組織RGBの施設で一泊させてもらうことになったのだ。RGBの施設が位置していたのは、実は有名な温泉スポットだったので、お風呂や寝る場所を確保する最適な結論なのであった。
さて、ここの温泉には、泥湯で有名な露天風呂がある。更衣室は男女別となっているため、湯につかりながら移動して男女がばったりと会うことにより、混浴となるのである。
響がさっそく温泉につかっていると、迫りくる2人の影。いつも通り、伊奈瀬と永久野である。響はあっという間に、柔らかい何かに包まれ、その気持ちよさに気を失った。
目が覚めたら、響は1人、バスチェアに座っていた。にぎやかな声のする方を見ると、伊奈瀬たちとリリーたちの6人で、楽しそうに女子会をしていた。たまには女子だけの時間も欲しいよな、と思いながら、気付けば響は6人の中に飛び込んでいた。
「ちょっとひーくん!?」
驚く永久野に対して、
「やっと起きたか響」
と冷静なリリー。響を交えた7人で談笑が始まり、気付けば全員のぼせていた。
どこから湧いて出てきたのか、浴衣に着替え終わった響一行は、
施設に到着したのは20時を少し過ぎたところだった。
「さあ、響くん。扉を開けてみてください!」
そうあいりが言ったのは、大広間の扉の前。響が言われたとおりに扉を開けてみると...
きらびやかに装飾された、パーティー会場と化していた。色とりどりの風船や壁にかけられたガーランド。長いテーブルの中央には大きなケーキがあった。
「皆さん...!こんなに盛大に誕生日をお祝いしてくれて、オレとても嬉しいです!」
そして長い静寂。それを破ったのはリリーだった。
「...え?響って今日誕生日なの...?」
「一昨日ですけど...あれ?これってオレの誕生日を祝うための...じゃない?」
言われてみれば。「Happy Birthday」の文字は、この空間に1つもなかった。
「ま、まあまあ!それも含めて始めちゃいましょぉ~!」
「おー!」
「お、おぉ」
そうして名もなきパーティーが幕を開けた。
あっという間に楽しい時間は過ぎ、リリーが貸してくれたベッドで響たちが眠りについたのは、23時を回ったところだった。今日の響は、糸葉と同じベッドで寝た。なかなか響と一緒に寝られない伊奈瀬は、とても悔しそうにしていた。今夜が響といられる最後の時間かもしれない、というのは、その場にいる全員が思っていることだったからだ。
だから伊奈瀬は、糸葉と響が寝たのを確認して、バレないようにその端っこにもぐりこんだ。
小ネタ)
響たちとリリーたちの連絡手段は、糸葉とあいりの携帯です。糸葉がアパートから連行されたその日に、連絡先を交換しておいたようです。今回はあいりたちと温泉で待ち合わせをしていたので、あいりたちは時間になるまでサプライズでパーティーの準備をしていました。
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