いえす

にんじん

第1話

私は花音、いや花音像と呼ばれていた。なぜ、花音像と呼ばれていたかと言うと、神社の像だったからだ。

さっきまで、石のように固まっていた体が、人間の体のように、動く、走れる、話せる。

でも、ここは現世ではない。現世は空が青い。

でも、ここはどこ?私には分からない。

ここは、空が青くない、赤い、


「あっ、そうだ!」


私は閃いた。人間が話していた。現世の裏世界、ネ現世。ネ現世は空が赤い。でも、現世と同じ建物がある。ここも見慣れた神社だ。


「と、とりあえず、探索してみよう」


歩いていたら、見慣れない少年と少女が走ってきた。


「やーいやーい」


「早く来いよ!」


「うわーん、待ってよ!」


少年は前を見ていなかったのか、私とぶつかってしまった。


ドンッ


「わあっ」


「えっと、ごめん」


「大丈夫ですか?」


後から来た、少女に声をかけられた。

う、いたっ

とりあえず心配をかけたくない。


「う、うん」


「君、見慣れないね、引っ越して来たの?」


「え、え?」


どう説明しよう


「え?元々いた?」


「え?ううん、いなかったけど」


「だよね。どこから来たのー?」


私はいつの間にかここに来たことを言った。


「そ、そこんなことがあるのか?」


「そんなことあるんですか?」


「しかもここがネ現世って、俺らはここが現世、そっちの世界が、ネ現世だと思ってたぜ」


え?どうゆうこと?


「え?そうなの?」


「あっ、自己紹介が遅れたな、俺はあゆむだ。それとこっちが」


「ゆらです。」


結構話してくるのがあゆむ、優しい笑顔で話かけてくれるのがゆら。


「えっと、私は花音、現世では花音像って言われてた」


「ぶはは!なんだよ花音像って」


「あゆむ!失礼でしょ!」


「花音さんは困ってるんだから!」


「ゆらさん、そんなに怒らなくても」


「でも、なんで花音像なんだ?」


「実は現世ではあそこの神社の像だったの」


ぽかーんと2人の口があいた。


「へ?たしかに、あそこの像がない」


「そこで、考察なんだけど、現世とネ現世は繋がっているんじゃないかなって」


「おら、わくわくしてる!」


「俺、そっちでいう現世に行ってみたい!」


「もしかしたら、同じあゆむっていうやついるかも!」


「ド、ドッペルゲンガー!?ってなって多分消えるよ!?」


「なんだとー?!」


「でもさ、考えてみてよ、花音さんがこっちの世界にきたと言うことは、もう1人の花音さんは現世に言ってるんじゃないですか?」


たしかにその通りだ。そしたら同じ行動をしてる?でも、あゆむ、聞いたことがある気がするんだよね。ゆらも。


「たしかにそうだね」


「だったら同じ行動してるかも」


「たっ、たしかに!!」


「ゆら天才か!」


「ふふん、天才です!」


「あのさ、私、ゆらとあゆむって聞いたことあるかも、」


「ま、まじ?」


あゆむが興奮気味によってきた。

ていうか私、像のとき、あゆむに一目惚れしたきがする。


「う、うん」


「だったら、現世の花音もゆらもあゆむも私たちと同じ行動してるかも」


「そうゆうことになるよな!」


「たしかにそうですね」


「だったら、俺らで花音を現世に帰そうぜ!」


「いいね!いいね!私は賛成です!」


「いいの?2人とも」


「もちろんだぜ!」


ああ、やっぱり私、あゆむのこと好きかも。

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