雨の日の出逢いは、ロマンスの始まり?ではなかった。両親が亡くなって、鎌倉の実家に一人で住んでいる40代独身の孝太郎は、独身の一人暮らしを謳歌していると言うより、12年前に母親が亡くなってからもずっと、昨日と何も変わらない今日を過ごしていたら、いつの間にか四十を過ぎていたという、浦島太郎のような奴だ。夕立でずぶ濡れになったけれど、今日もいつもと大して変わりのない一日が終わろうとしていた。いつものように、家まではまだ30メートルも手前だが、タクシーが悠々方向転換が出来る広い道でタクシーを降りて、土砂降りの中を家まで駆けた。こんな雨でも、いつものようにポストのチラシをちゃんと回収する。と、その時、そこに 小柄なお婆さんが…。とても非常識な事が起こっているのに、現実のお婆さんの行動と、思い出のお母さんがシンクロして、このおかしな状況を受け入れてしまう孝太郎だが、このまま、心地よい母との思い出に浸っていてはいけないと、この不可思議な状況を打開すべく、自ら行動を起こす。ところが、色々な勘違いや早とちりから、事態は思いもかけない方向へ。そんな時に、無縁だと思っていた人々の、思いがけない優しさに、少しずつ何かが変わる孝太郎。お婆さんとの出逢いから、孝太郎の生活は、今までの日常から非日常へと。雨の日の出逢いは、何の始まり?