第31話 次元の狭間

⸺⸺次元の狭間⸺⸺


『やぁ、君ら。同じ座標から僕が召喚の経由をした人らの、この狭間へたどり着きたいというとてつもない魔力を感じたから、異例の判断でここの扉を開いてみたよ』


「にゃぁ~!」

 次元の狭間の管理人さん!

 やった、この何もない空間、無事次元の狭間に来ることができたんだ。一緒にお祈りした20人の日本人さんたちも一緒だ。

 って、私猫のままここに来ちゃったんだ。


『君は猫……。いや、その魔力、1ヶ月ほど前に猫のスキルを与えた人だね。その後は望んだ生活が送れているかな?』


 私は返事をするため人の姿へと変身する。

「はい、おかげさまで夢のような生活を送れています! ですが、彼らはそうではありません」

『ふむ……僕もその座標で何が起こっているのか気になっていたんだよ。話してみてくれるかい?』

「はい、実は……」


 私は管理人さんへ、快楽を得るための乱召喚をしている集団がいるという話をした。


⸺⸺


『召喚主は君らに特に何も求めてはいなく、召喚という行為自体に快楽を求めていると、そういう訳だね』

「そういうことです」


『それは……せっかく中継した僕からしてもとても許しがたい事態だね』

「管理人さんの特権でなんとかできませんか?」

『こればっかりは上に確認してくるよ。ちょっとそこで待っててね』

 管理人さんはそう言うと、じわーんとその場から居なくなってしまった。

 上!? 管理人さんにも上下関係とかあるんだ!?


 管理人さんの上司ってどんな人なんだろう……。ローブが一回り大きくなったりして……。


 そんなことを考えていると、その逆でむっちゃんこちっさいローブが管理人さんと共に目の前に現れた。

 そのちっさいローブはモザイクがかかったようなキンキン声でこう言った。


『地球人よ。今しがたアタチの方でもその乱召喚とやらの確認がとれまちた。これは召喚という行為を愚弄ぐろうする許すまじ行為でありまちゅ。よって、彼らには裁きのいかずちを与えまちゅっ』


 え、可愛いんだけど……。なんか可愛すぎてすごい物騒なこと言ってた気がするけど全然頭に入ってこなかった。


 ここで管理人さんが補足をしてくれる。

『具体的には、彼らが次に召喚をした時に、裁きの雷が発動する。すると、逆召喚が働いて、そのウェルマーという男を含めて4人とも別の異世界へと飛ばされる流れとなっているよ』

「逆に彼らが召喚されると……」


『そして彼らが飛ばされる異世界は、魔力の元となる“マナ元素”の存在しない世界』

 マナ……空気中に含まれてる元素で、これのおかげで魔法とかが使えるんだよってクロードが言ってた。


『しかし魔力はそのまま保持した状態で行ってもらう。これが何を意味するか……』

 ここで可愛い上司が続く。

の世界で、彼らは唯一魔物を惹き付ける存在となりまちゅ。魔力のない現地人は魔物に襲われることもないので、魔物から守ってくれる結界も存在ちない。彼らには、魔法も使えない状況で一生逃げ場のない魔物から追われる生活を送ってもらいまちゅ』


「え……やば……」


『我らを敵に回したちゅみ、その身をもってちゅぐなわせるのでちゅっ!』


⸺⸺私の意識はここで途切れた。


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