死臭

黒星 落

死臭

ちょいちょいあんた ちょいあんた

死臭がぷんぷんしているよ

気をつけないと死んじゃうよ


いきなりなんだ失礼な

これでも身体は健康さ

ちょっと太っちゃきたけれど

まだまだ全然大丈夫


違うよあんた 全然ちゃう

あたしが言っているのはね

こころの死臭のことだから


こころの死臭ってなんのこと

やっぱりなんだか失礼だ


心当たりがあるだろう

心が死にかけてるだろう

心が生きていないだろう

早く癒やしてあげなけりゃ

今度は身体も死んじまう

あんたが自分を殺しちまう


そんなの言っても知るもんか

それで誰が困るのさ

あんたの知ったこっちゃない

よけいなお世話はやめてくれ


そりゃ知るもんか他人さね

あとでニュースに出てたって

茶ァ飲みながら「かわいそう」

明日の朝には忘れてる


だったらどうして声かけた

放っておけばよかったろう


うるさいからさ うんざりさ

あんたの心が泣いててさ

痛みにしくしく耐えながら

生きてくれって叫んでる


そんなのぼくには聞こえない

大体今更どうやって

生きればいいかわからない


それこそあたしの知るもんか

まずはとにかく泣き虫な

お前のこころを聴いてみな

心の声を聴いたなら

詩の一つでも書けばいい

少しは慰めになるだろさ

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