おなら勇者の伝説
零二89号
第1話 勇者!見☆参☆
「はあ・・・そろそろ仕事しないとなあ」
数日前にやった依頼の報酬金がそろそろ底を尽く事をベッドに寝転がりながら考える。
「つってもどうしたもんかなー」
そんな独り言を呟きながら俺は家を出た。
ギルドに向かって歩いていると前方不注意で大男と肩をぶつけてしまう。
「すみませ・・・・・・」
俺の謝罪を遮って大男がわざとらしく言う。
「痛ってえなあ、これ絶対骨折れたわ」
「・・・・・・は?」
俺は困惑する。
「あんちゃんこれどうすんや、お?骨折の治療ってめちゃ金かかるねんぞ」大男が
問いかける。
「いや軽く肩がぶつかっただけで骨が折れる訳ないで・・・・・・」
「あ゛!?」
大男が圧をかける。
「言い訳はええから、ひとまず30万ユンな」大男は金を要求する。
「は!?」
(そんな金今すぐ払える訳ねーだろ!)
「できるわけないでしょ」
「じゃあしゃあーない、一緒に家行こか」
「は!?」
俺はさらに困惑した。
「こらこらこら!そこの君!」
するとどこからともなく声がした。
「その程度で骨折するわけないだろう!それに骨折の治療魔法は高くても10万だ!どっちみち恐喝まがいなことをするんじゃあない!」
「なんやあんちゃん?」
「勇者!見☆参☆」
そう言いながら謎の男はポーズを取った。
「「なんだこいつ・・・・・・」」
俺と大男の思いが一致した瞬間だった。
「ってそれより!俺の邪魔せん方がええで?」
「ふむ、どうやら聞く気はなさそうだ・・・・・・」
そう言うと勇者と名乗った男は後ろを向き、尻を突き出す。
「?」
大男が戸惑っていると、勇者?が叫ぶ。
「おならバースト!!!!!!」
すると凄い勢いでおならが大男の顔面に向かって一直線に放たれた。
「・・・・・・く、くっさあ!!!」
大男の顔面におならが直撃すると、大男は途端に鼻をつまんで地面を転がった。
「くさいくさいくさいくさすぎるーー!!!!」
大男が悶絶する様子を見て、勇者(仮)は再びこちらを向いてニヤリと笑う。
「これが正義の力だ!これに懲りたら二度と悪さするんじゃないぞ!」
「ちくしょー!」
大男はその場から走り去って行った。
「あ、ありがとうございます?」
「なに、礼には及ばんよ」
「そうですか・・・・・・」
状況がよく分からなかったが、俺は一応感謝を伝えた。
だが次の瞬間、ぎゅるる~という音が響く。
「・・・・・・あの~もしよかったら、何か食べますか?助けられましたしおごりますよ」
「実にありがたい!」
俺は勇者(自称)を近くの酒場に連れて行った。いつの間にかできてた人混みを抜けるのに時間が掛かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます