風呂で何十回も練習した。

球団に招集要望的なのが届いたけど、まだ俺達選手に知らされていないということは、上層部や編成部、GMや監督などの間での話し合いが必要なのだろうと考察する。



何故平柳君が知っているのかは知らん。



なんとかカップみたいに、企業名が入ったカップ戦という扱いで今回は4チームが集結するらしい。



ブラジルとイタリアは確定していて、あとは北中米辺りからもう1ヵ国来る予定だが、まだ連盟から正式な発表はなかったはずだ。



国際試合3連チャンですけど、球団としては親善試合でケガされても困りますからね。


投手だけてはなく、野手も多分3試合で何イニングまでとか、何打席までという風に制限を設けることになるかもしれない。



それが確定したら正式に俺達の元へ、日本プロ野球連盟とシャーロット球団のハンコが捺された書類が届くはずだ。



ピンポーン!!



平柳君とそんな話をしていると、呼び鈴が鳴った。壁に備え付けられたモニターには、前村一家の姿が。



俺はかずちゃんを抱っこして玄関に向かいドアを開けた。



「どうもお疲れっすー!」



下の子と手を握るようにして前村君が軽く頭を下げた。



その横では、かつて大阪を拠点に活動していた元女芸人さんが細いカートにくくりつけた荷物を引きながらにっこり。



「よくいらっしゃいましたね。今から焼き始めるところなんで、奥様以外は上がって下さいね」



「なんでやねん!おかしいでしょうが!ウチも上げんとあかんやろ!」



「いいねえ!!」



「俺の妻で遊ばないで下さい」










ドーン、ドーン!と花火上がり、観客がドシドシ押し寄せてきて熱気ムンムンである。


スタジアム中に、アメリカ国家が流れ、俺は誰よりも熱唱した。



ワールドシリーズの開幕である。



相手西アメリカの帝王、ロサンゼルスである。



オールスター、各国代表選手を各ポジションに揃えるスーパースター軍団。圧倒的な投手力で、今季メジャー最多の106勝をマークし、ポストシーズンも他を寄せ付けない強さを見せてきた。



事前に放送関係者に熱唱するからね!と、言っておきましたので、ずらっと並んだ両チームの選手を写し終えると、曲の最後。



バックスクリーンには、胸に手を当て、少し視線を上に向けたわたくしが大口を開けて高らかに歌っている姿が写し出され、笑いが起きた。



この時点で、シャーロットが1点先制したものですよ。



今年のオールスター戦で、我々の活躍もあり、イーストアメリカンが勝ちましたので、うちらにホームアドバンテージ。



1、2戦をグリーンオブシャーロットで開催することとなった。





シャーロット スターティングメンバー



1番ショート 平柳


.315 15本 56打点 31盗塁


2番レフト 新井


.404 0本 60打点 0盗塁


3番センター バーンズ


.335 56本 142打点 22盗塁


4番ライト クリスタンテ


.272 44本 128打点 12盗塁


5番ファースト アンドリュース


.265 27本 92打点 2盗塁


6番DHブラッドリー


.270 25 75打点 11盗塁


7番サード ヒックス


.277 14本 51打点 18盗塁


8番キャッチャー ロングフォレスト


.243 15本 48打点 3盗塁


9番セカンド ザム


.270 10本 44打点 33盗塁



ピッチャー ウェブ


防御率 2、84 20勝5敗





「以上がワールドシリーズ第1戦、シャーロットウイングスの栄えあるスターティングラインナップです。解説は大原さんです」



「よろしくお願いします。シャーロットはニューヨークとの第4戦以降は足の使える選手を起用してきましたが、このシリーズは本来の形に戻してきましたねえ。1、2番の出塁力と3、4番の勝負強さが、ロサンゼルス相手にも噛み合うのか楽しみですよ」



「先発はリーグ最多勝のウェブです。20勝を挙げましてキャリアハイの成績、一気のワールドシリーズ制覇への大事な初戦を任せられました」





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