第5話 編集者は歴史モノに協力してくれない
こんにちは!坂口です。
今回は、歴史モノを書いている方々が全員困ってるだろう!という話題。
ズバリ、「自分一人じゃチェックしきれない」ということ!
つまりですね、「原稿上がった!」はいいけど、その後の見直しがかなり大変ですよね。小説だって、自分で何度チェックを重ねても
「ここの日本語間違ってる」
「誤字脱字があった」
なんてことは日常茶飯事。特に数万字を超える長編じゃ、一人じゃ絶対無理です。
歴史モノはさらにエグイです……。
年号が間違ってないか?地名、人名はあってるか?この説はマチガイじゃないのか?という専門的なことを見直ししていかなきゃなりません。
出来る限りは自分でやりますが、どうしても限界が……。
わたしは出来る限り、専門家や地元のアマチュア研究家、役所の文化財課の協力を得ることにしてます。すごく高齢のおじいちゃん研究家だったりすると、原稿を全部チェックしてくれることもあります!
ただですね~、この「協力者」を探すのって、想定外に大変です。当たり前ですよね。全然知らない人から「本作るので協力してください」って言われて、OKしてくれる親切な人って、滅多にいるもんじゃありません。
ものすご~くマイナーな歴史を扱ってる場合は、
「おお!この人物を本にしてくれるならうれしいよ!協力するよ!」
って感じになることもあるのですが。
わたしは先日、三国志を扱った本を書いた時、ついに「協力者探し」を断念しました。
何件メールを打っても、旧ツイッターでDM送っても、大学に電話をかけても、三国志好きが集まるコミュニティに出かけて行っても、まったく返事をもらえなかったのです。お断りメールすらもらえないし……。(学生の頃、授業受けてた教授から完全無視された時は悲しかったです。人として、卒業生にお断りメールくらい送ろうよ……。最低限の礼儀でしょ?)
でも、わたしが最もショックを受けたのは、この後の担当編集者の態度です。
「協力してくれる人が、とうとう見つからなかったんですよ。どうしようか困ってて……。わたし一人のチェックじゃ、漏れがあるだろうし」
「え?別にイイじゃないですか。チェックなんかしなくても」
「は……?」
「辞書や教科書書いてるんじゃないでしょ?ただのエンタメなんだから。間違いがあったって問題ないですよ」
「それって……」
こんなにキレそうになったことって、滅多にないです。ただのエンタメ?確かにわたしの本は教科書みたいに国家の責任を負ってるわけじゃありませんが、「エンタメだから無責任に嘘を書こうが、あっちこっちにミスがあろうが全然OK」ってわけじゃありません!
悲しいことですが、こういう編集者って多いです。わたしは出版社から出した本が三冊ありますが、三回とも同じ態度でした。歴史的事実のチェックは、著者に全部丸投げ。自分は何も動きません。校正の時に「○○年」の確認すらしてくれないです。このくらい、素人だってできるのに。年表見りゃ分かるでしょ?
でも、これってただ単に「著者の負担が大変」なだけじゃなくって、社会的に問題だと思うのです。
例えば、土方歳三の本やWEB記事って毎日のように出るし、徳川家康の作品だってどんどん出てますけど、土方家や徳川家の直系の子孫って、今も健在ですよ?この人たちがイイカゲンで嘘だらけの本や記事を読んだら、ものすごく傷つくだろうし、第一失礼じゃないですか?それに、血は繋がってなくたって、何らかの関係を持ってたり、長年研究してる人って、世の中に大勢いるんです。
自分の出版社が出すものは、社会に対して責任があるってことを、出版社の人間はもっと心に刻んでほしいと思うのです。それと、著者に対して、少しくらいは協力してくれたっていいのに……って、切実に思います。
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