第11話 母のふるさとへ、ごー
タイトルに母のふるさと、とありますが決して家から遠いというわけではありません。ふっつーに同じ県内だし、車で15分くらいです。電車でも乗り換えして20分もあれば着きます。ただ、今は母方の祖父母は亡くなっており、行く機会というのがほとんどなかったので久しぶりになってしまいました。
なぜ、唐突に行こうと思ったのかといいますと、急に、母の実家近くにあったサンドイッチ屋さんを思い出したからです。まだ祖母が生きていたころ、たまにサンドイッチを買ってもらっていました。特に、そこのフルーツサンドが大好きで、行くたびに選んでいました。昔から、食パンの耳は嫌いじゃなかったけど、おいしいと思ったことはあまりなくて。でもそこの耳はとてもおいしいんです。お店で焼いているものなのか、どこかに発注しているものなのかはわかりませんが、どこのパン屋の食パンよりもお気に入りです。私がここのフルーツサンドが大好きな理由はは、このパン(耳)と生クリームの相性が抜群なところにあります。食レポが得意ではないのでうまく表現できないのが非常に残念……。
ただ、フルーツサンド以外に当時自分が食べていたのが何かを思い出せなかったので、ショーケースを見て気になった「ポパイ」というサンドイッチも買ったんです。ポパイって聞くと、ほうれん草を食べるあのキャラクターが真っ先に思い浮かぶんですけど、全くほうれん草感ナシ。そもそも入っていない。たまごとポテトサラダ(マヨ少な目)のハーフみたいな感じでした。マヨネーズが少なめだったこともあって重すぎず、おいしく食べきることができました。
駅からサンドイッチ屋に行くまでの街並みは、だいぶ変わってしまいました。知らないお店、知らない駐車場。私のおぼろげな記憶との差異が違和感と喪失感を引っ張り出し、胸がきゅっと縮こまっているような、そんな感覚に陥りました。特に、母が幼い頃からあった個人経営のスーパーがなくなって更地になっているのに衝撃を受けました。噂には聞いていたけれど、本当にないとは。祖母と夕飯の買い物をすると言ったら必ずそこで、頻繁に行っていただけにショックでした。
時が経てばそこに住まう人々は変わり、環境も変わる。当たり前ではありますが、変化についていくことができず、ぽつりと取り残されてしまったようで、懐かしくもありましたが、もの悲しさを感じざるを得なかった、そんな母のふるさとでした。
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